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【拘束フェチ小説】鷹美(5)「完全拘束学園・後編」

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83 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/03(水) 01:00:23 ID:nf8dyK4F0

 翌日から二人の新しい生活が始まったが、鷹美たちには新生活でも在校生にとってはけだるく面倒な一週間の始まりだった。

 特進課の教室に入ると、皆の視線は穏やかで、昨晩のことがウソのように態度は普通だった。

 既に皆この数年の間に、人の転校・編入にある程度慣れてしまっているのか、世話好きの女子数人以外は特に声も掛けてこない。

 少し拍子抜けした鷹美たちだったが、あれこれ根ほり葉ほり聞かれるよりはましだと思った。

 

 一週間程してある程度新しい生活に鳴れた頃、鷹美たちは昼休みに校長室に呼び出された。

「どうかね? もう慣れたかな?」

「はい、まだ多少慣れないところはありますが、一通りは」

「みんな意外と普通なんで驚きました」

「さてそろそろ君たちの能力を発揮してもらわないとね。それに際してちょっとだけ確認しておきたいことがある」

「はい」

「まず曾根芝くんは、妃埼くんが他の子たちにいじり回されても平気かね?」

「はあ、もともとそうやって現在に至ってますので、破壊傾向の悪意がなければ、ぜんぜん」

「妃埼くん自身はどうだね? それと曾根芝くんが他の子に関わることについては?」

「……あはは、自分が馴染んじゃってるのがイヤですが、基本的にあたしは平気です。寛貴もスキル上がるし、他の子の役にも立つでしょ」

「うんうん、なら良かった。わざわざ召喚した甲斐があったよ。君たち、特に妃埼くんにとってこの学園は何だと思うね?」

「新しい環境でしょうか?」

「檻だよ、檻。 まるまる山1つ分の巨大な檻だ。しかも歪んだ社会性を持つ目に見えない檻だ」

 鷹美も寛貴もゴクリと息を呑んだ。

「曾根芝くんの立場はあのウレタンの時と変わらない。妃埼くんの所有者であり、調教の仕上がりの確認者であり、また傍観者でもある。ただ、監督ではない。 妃埼くんはあの地下室が山1つ分に拡がったと思ってくれればいい。そしてあの閉塞空間には無かった社会性というものが存在する。君はこの学園内で身体的自由はあるが、立場上の自由は無い。それこそがあのピンクの封筒の意味なんだ。君は両親や一般社会の元からこの閉鎖社会へ奴隷として公然と召喚されたのだよ。並大抵の人間には頼めないから、あの封筒は誇りに思ってくれたまえ」

84 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/03(水) 01:00:53 ID:nf8dyK4F0

 寛貴が自分の調教を依頼した時から、鷹美はずっと見えない力に流されて来たような気がしていたが、ついに自分の収まるべき所に来たのを感じた。

 特進課の中でも自分は他の子たちと全く違う存在で、転校時の一時の甘い夢は、これから永遠に続く奴隷生活のプロローグだったのだと。

 

「納得してもらえたら、この首輪を嵌め、貞操帯の鍵を渡したまえ。もちろん、全てを拒否して学園を去るという選択肢もまだ残っているがね。」

 鷹美は全身に冷たい汗が浮くのを感じながら、その首輪を受け取った。

 

 首輪はまるで博物館の展示品を持ち出したような、錆の浮いた重い鉄で出来ていて、内側は過去に同じ立場だった者の汗と垢で磨かれていた。

 前後左右に鉄の大きな輪が付いていて、前の輪から少しずれた所に鍵があった。

 施錠機構だけは内側から削り込んで近代的なものに付け替えられていて、一度閉じると鍵で正当に解錠する以外、外部から破壊できないようになってた。

 

 鷹美はブラウスのタイを緩め、うなじから襟元までを広げ、そこに首輪を回して自らガチリと施錠した。

 寛貴は首からチェーンを外すと、貞操帯の鍵ごとチェーンを校長に渡した。

 

「ありがとう。妃埼くんは、これから色々な者が君を頼ってくるだろうから、その願いをきいてやって欲しい。曾根芝くんは普段は普通に授業を受けていてくれれば良い。妃埼くんは呼び出されるとその時間が無いだろうから、可能な時はインカムか何かで流すよう手配するよ。前の学校の資料から、君なら短い授業時間でも充分ついて行けると判断してはいるがね」

 鷹美は首輪が邪魔で襟が全く戻せないのが惨めで辛かった。

 このまま校長室から戻れば何事かと聞かれるだろう。

 やっぱりまともな生活はもう出来ないのだという実感がどんどん湧いてくる。

 そしてここにはそのまともでない生活を肯定し、包み込んでしまう環境が存在する。

 異常な日常を送らされても、それに割って入る助けは永遠に来ないのだ。

 鷹美は教室に戻った時の言い訳セリフをあれこれと考え始めた。

88 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/04(木) 01:41:34 ID:qQ97N7DN0

 校長室から特進課の教室まで戻る廊下、昼食の済んだ一般課の子も居る中、首輪を隠すこともできずに寛貴と揃って歩く。

 気づかない子、気づいてギョッとする子、目を逸らす子、一瞥(いちべつ)して通り過ぎる子。

 校長の言う通り、ここはそのための環境であると頭では理解できていても、露出や羞恥についてはまだまだ普通の女の子並みの感覚しか持ち合わせていない鷹美にとっては、自分の立場を明示しているようで消え入りたいほど恥ずかしかった。

 教室に戻ると、鷹美は担任から放課後保健室へ行くようにと告げられた。

「先生、何だって?」

「ああ、放課後身体のサイズを測るから保健室まで来いってさ」

「いよいよだな」

 

 放課後、鷹美が保健室に行くと女性の養護教諭の他に生徒が何人か居た。

「妃埼さんね? 早速だけど服を脱いで」

「この人たちは?」

「美術造形部の人たちよ。それぞれ作りたいモノが違うから計測のノウハウも違うらしいの。大変だけど協力してあげて?」

「はぁ……」

 メジャーやノギスを持った先輩後輩の前で貞操帯と首輪だけの全裸になり、その状態で身長から胸囲、腹回り、太腿、手首、ありとあらゆる部位を計測され、その後、首輪と貞操帯も外された状態で局部と首周りが計測された。

「えと、もう終わりでしたら帰ってもいいですか?」

「いやいや、一番最初は計測不要の僕たちの番なんだ。妃埼さんは当分自分の部屋に戻ることは無いと思うよ」

「ええっ?!」

「僕たちの長年の夢の実現に協力してもらいたい。君は今から石膏像になるんだ」

「えええーーーーーーっ?!!」

92 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/05(金) 01:15:54 ID:43qCAvgA0

 貞操帯と首輪だけ戻され、首輪にはリードが付けられた。

「服のことは心配しないで。ちゃんときれいにしてあなたの部屋に戻しておくから」

 鷹美は靴まですべて取り上げられ、入寮の時に履いたような使い捨てスリッパを履かされた。

 早速すぎる惨めで情けない扱いに、性的な興奮を得る間もなく震えた。

 

 計測の間にずいぶん時間が経過したのか、廊下を歩く生徒の人数はまばらだった。

 そう言えば夕食の時間にも近いので、クラブの生徒は着替えやシャワー、他の生徒も少ない自室での自由時間を過ごしているのだろう。

「胸は好きに隠していいわよ。裸なのは別に無理矢理羞恥責めがしたいわけじゃなくって、あなたの服の取り回しの関係だから」

 下は貞操帯に隠れているので胸だけを自分の腕で抱くように隠して、鎖を引かれて廊下をペタシペタシと歩く。

 さっきから色々と説明するのはおでこのやや広い眼鏡をかけた先輩女子で、胸の名札に『金子』と書かれていた。

 

 科学棟にある美術造形クラブの部室に入ると、鷹美は鎖を外され、そして首輪も外された。

 外はもう夕暮れだったが、広いアトリエの中に、キャンバスの載ったイーゼルや、作りかけの製作物が点在する。

 その一角に、ビニールシートが敷き詰められ、バケツや、白く汚れたベニヤ板などが散乱している所があった。

 鷹美はそれを見て、あの蒸し暑い地下室とは全く違った、崇高にして冷徹な空間を感じ、手をぎゅっと握り締めた。

 暴力的圧力で閉塞されるのではなく、自分の曲線を美しく誇張して固められる。

 だがそれは鷹美にとって、自分が羞恥のポーズのまま、許してもらえるまで固まったままにされ晒されるということを意味していた。

95 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/06(土) 00:44:35 ID:L9ROMusy0

「今まで色々試してきたけれど、どの彫像も一晩、丸一日が限界なの。呼吸はまあいいんだけど、食事と、特に排泄でね」

「石膏像ってどうすればいいんですか?」

「あなたはモデルだから、文字通り像の芯になってくれればいいわ。本当はドボンと石膏槽に投げ込んで、引き上げて固めてしまえばいいのでしょうけど、強度的にも機能的にもその後の維持が不可能だから、ちょっと面倒な手順を踏みます。最初は薄く包帯を巻いて、その上からガラス繊維を含んだギプス材を薄く巻きます。結局下地はギプスになってしまうのが少し残念だけど、でも強度があるからその上に石膏を盛っても持つし、呼吸などの可動空間をちゃんと確保できるわ」

「はぁ」

「じゃぁ時間も無いので早速」

 

 指揮するのはこの金子という女の先輩で、他に面識の無い男子部員が2人ほど付いた。

 この2人はどうやら鷹美より後輩らしく、一般課の生徒であるようだったが、鷹美の裸を見て顔を赤らめていた。

 しかし裸婦のクロッキーで慣れているのか、無理に目を逸らせたり、行動に支障が出る様子はなかった。

 

 鷹美は古ぼけた安っぽいビニール張りの丸椅子に座らされ、つま先からブルーの包帯を巻かれた。

 包帯はあくまでもギプス材と皮膚との緩衝が目的なので、僅かに端を重ねる程度の荒く薄い巻き方だ。

 とりあえず太ももまで巻くと、一旦端を仮留めした。

 

 鷹美が足元を見ると、そこには台車に載せられた50cm四方ほどの広さで厚みが20cm程の石膏の土台が準備されていた。

 鷹美の足に粉っぽいギプス包帯が巻かれ、ふくらはぎまでで仮留めされた。

「立ってもらっていい?」

 アシスタントの男子に支えられ、そのまま自力で石膏の台の上に乗った。

 片足を上げて、足の裏に霧吹きで水が掛けられた。

 足を下すと、つま先から足の甲、ふくらはぎまで掛けられた。

「さて、ポーズをつけるわ。あまり重心が外に出ないポーズがいいわね。今すぐその形に固めるわけじゃないけど、足首の向きとか、足裏の荷重負担とか、ちゃんとやっておかないと上が固まってからでは修正きかないから」

「こんな風ですか?」

「バカね。手をそんなに上げたら自分がつらいわよ」

 鷹美は慌てて手を下した。

106 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/07(日) 01:24:13 ID:9yHcazkT0

「そうね、すがすがしい風を顔で受けて、手を開いて少し後ろに持ってゆくイメージ? ほんの少し前傾して。 ……それでいいわ。5分我慢ね」

 じっとポーズを取っていると、ふくらはぎまでが温かくなり、足が固まってきた。

 完全に硬化したら、現在通常使われている水硬性ポリウレタンのギプス材の上から、片足ずつ今度は石膏包帯を巻かれ、霧吹きで水を掛けられた。

 足首にはもう完成時の角度が付いていて、足裏の形も完成時の荷重に対応している。

 

 石膏包帯が固まる前にまた片足を上げ、そこに練った石膏をべちゃりと薄く盛られ、そこに足を載せられた。

 左右とも足裏に石膏を流されると、再びポーズを付けられた。

 石膏が固まる時にはギプスや石膏包帯よりもかなり温かくなった。

 足裏からふくらはぎまでの石膏包帯が固まると、普通に石膏が練られ、スパチュラ(へら)で足の先から足の甲、ふくらはぎまで塗られた。

「足も顔も、実際のモデルより太めになるのよねー」

「ええーーっ? いやあ! でも、そうか……」

 鷹美は拘束とは全然別のところで反応した。

「続きの前にちょっと休憩。あなたたち、これで缶ジュース買って来て」

 金子先輩は男子後輩2名を追い払った。

「さて、妃埼さんの大事な部品、これに交換するわね?」

 鷹美が見せられた部品は大小2つのネジの頭の部品のようだったが、最初それがなんだかわからなかった。

 しかも、思い当ったとしても、あまりにそれが簡単に初対面の人間の手にあることが恐ろしく感じるモノだったので気付かなかった。

「これ、妃埼さんのココとココの蓋の交換部品。石膏に埋まっちゃうから、埋まっても大丈夫な部品に替えるの。ネジ頭もポリプロピレンの白い部品だから、石膏に埋まると目立たなくなるのよ」

「え? あ! いやあぁぁぁ!!」

 そこまで聞かされて初めて、鷹美はこのすぐ後に訪れる羞恥の儀式に気付き悲鳴を上げた。

107 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/07(日) 01:24:45 ID:9yHcazkT0

 既に足を固定されているので全く逃げることができない。

「や、それいや! 汚いですよぅ!!」

 抗う間もなく、お尻の蓋が外された。

 プスッとかるいガス漏れの音がしたが、積極的に浣腸されたわけではないので、内容が漏れることもなく、蓋だけを新しいものに交換された。

 その蓋は二重のネジになっていて、仮に石膏で汚れても、今回追加した部品ごと外してしまえば元のネジ山が汚れることはない。

 新たな蓋は、当然以前のものより少し径が小さく、ポリプロピレンで覆われていて、中心の十字穴にも白いゴムキャップが付くようになっていた。

 金子先輩は外した蓋を除菌ティッシュで丁寧に拭くと、貞操帯の鍵や首輪の鍵と一緒に仕舞った。

 そして次に小さなバケツを用意し、これも抗う間もなく鷹美の尿道栓を外した。

「あ!あやあぁぁぁぁぁぁ…………」

 消え入りそうな鷹美の悲鳴とともに、栓の抜かれた穴から鷹美のおしっこがバケツにほとばしる。

「あぁぁぁぁ……」

 ぴゅるぴゅると数回絞り出してようやく終わった。

 そこにもお尻と同じようなポリプロピレンでコーティングされた白い二重ネジがねじ込まれた。

 こちらはコーティングされた内筒で、栓そのものは、細いただの白いゴム栓だった。

 しかしほぼ平らになるまで押し込めるので、こちらも石膏に埋められば目立たないただの小さいゴム栓になるようだ。

 そして金子先輩の手で金属の貞操帯には入念にワセリンが塗られ、シリコンスプレーを軽く吹きかけられたところで男子2名が戻って来た。

「ごくろうさん、先に飲んでていいわよ」

 金子先輩は男子と入れ違いにバケツの中身を捨てにトイレへ向かった。

 鷹美はおしっこの匂いを気にして妙な顔をしていた。

111 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/08(月) 01:37:43 ID:ZurkHLuc0

 一息ついたあと作業が再開された。

 鷹美も飲み物を勧められたが、ふくらはぎから下はすでに石膏化されていて、とてもそんな気分ではなかった。

 貞操帯部分の下準備が出来たので、一気に下腹部までブルーの包帯が巻かれた。

 そしていよいよふくらはぎから上のギプスが巻かれる。

 巻く作業は男子後輩が行うが、硬化仕上げは金子先輩が手で丁寧に整えてゆく。

 ここからの作業風景に鷹美はある種の違和感を覚えた。

 そう、手つきや内容が芸術的な雰囲気であって、暴力的な拘束という感じではないのだ。

 しかし、それまでただ呆然と足を固められる成り行きを見守っていた鷹美だが、足のラインをきっちりと表面に写し取ろうという金子の手つきが、芸術をさらに超えたエロティシズムを引き出すように見えて突然感じ始めた。

 その時すでに鷹美の太腿の付け根までがギプスの中だった。

 

 そのギプスの上から更に石膏包帯を巻かれ、さらにその上から石膏を盛り付けられ、表面を丁寧に仕上げられると、鷹美の足は本当に石像のようにカチコチの2本の棒になった。

 ギプスの下地が無ければどこかがピシリとひび割れそうだが、程よい厚みで歪みすら見当たらない。

 また石膏化した表面のなだらかな具合を見ると、金子がギプス材の巻きや仕上げにこだわっていた意味が、美術初心者の鷹美にも良く分かった。

 貞操帯部分は包帯が巻かれていないので、ギプス材と石膏包帯と石膏を足した厚みでちょうど白い栓との段差が消えるように調整された。

 鷹美は性器周りが石膏に塗り込められてしまうと、ちゃんと排泄できるはずだとは良く知っていても、とても不安になった。

 

 腰から下、特に膝周りに力を掛けてみる。

 カチンカチンで、全くピクリとも動けない。

 この頑丈さで全身を覆われるのだという実感が急に湧いてきた。

 自分の裸のラインそのものにほぼ匹敵する石膏の姿を晒して。

「あ…… や……」

 ゾクゾクとした戦慄を背中に感じ、顔がほころびるように歪むのを、取り繕うように苦悶の表情に変換する。

 鷹美は、股間が既に全て冷たい無機質の中に閉じ込められていることを感謝した。

115 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/08(月) 23:37:45 ID:ZurkHLuc0

 後輩男子の眼前で期待の淫汁をトロリと漏らす様を見られずに済んだのは幸いだったが、鷹美の脳はもう被虐快楽を受け入れる状態にスイッチされていた。

 まだ自由に動く顔を下に向け、つぶさに自分の下半身を見ると、そこには石像としての下半身しか存在しないのに、そこが確かに自分の肉体の一部であるという実感がある。

 ウレタン漬の時には得られなかった、新たな被虐快感のステージ。

 あの時のように、悪意により押し込められ、抗えぬ絶望を勝手に強制的に快感に変換させられ、その快感を代償に屈服させられるのではなく、本当に拘束されて嬉しいと思う内なる気持ちを、身体の端から順々に塗り込まれて絶頂へ導かれるような気分。

 

 最初に髪の毛をヘヤピンでなるべく薄くなるようにまとめられ、水泳キャップが被せられた。

 そして腹から胸にかけてブルーの下地包帯が巻かれ、そのまま肩まで包まれる。

「一番肝心の呼吸空間を作る作業に入ります。これをきっちりやっておかないと、ひび割れができたり、像が妙にもっさりと歪だったり、呼吸が苦……」

 金子はフッと笑ってそこで言葉を切った。

 完全に包帯で包まれると、大きなヘラで前面にだけワセリンが塗り込まれ、さらにシリコンスプレーのようなものが吹き掛けられた。

「はい、ポーズお願いします」

 上半身は下半身と作り方が違い、包帯ではなく、四角いシート状のギプス材が腹から胸にかけて手早く貼り付けられた。

 それらが一塊で前に剥がれるのを防ぐために、腰と胸の後ろに1本ずつ包帯状のギプス材が渡されたが、それは前と接続する端部分以外は濡らされなかった。

116 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/08(月) 23:38:16 ID:ZurkHLuc0

 まるで野球審判の防具のように鷹美の身体の前面を覆うギプス材が、鷹美の呼吸に合わせてうねる。

 分離剤としてワセリンとシリコンスプレーが塗布されているので、ギプスが固まり始めると下地包帯からは浮いてきた。

「ストップ! そこで息を止めて」

「はうっ」

 鷹美が呼吸を我慢すると、金子がまだ完全硬化していないギプス材を押して、腹のへこみや胸の形を整えた。

「少し息を吸って……」

「はい」

 軽く吸った所で息を止め、しばらく我慢していると前全部が温かくなりギプスが固まった。

「息していいわよ」

 鷹美が呼吸すると、もう固まった前面の形は変わらず、その内側で鷹美の胸郭が動く。

 しかしまだ背中を固定していないし、下半身の部分とも接続されていないのでパカパカする。

117 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/08(月) 23:40:18 ID:ZurkHLuc0

 背中で支えている2本の包帯が濡らされると、前面の殻とでも言う部分が固定されてきた。

 たった2本の包帯なので、固まりはじめても調整がきき、金子は鷹美の呼吸の様子を見ながら前の殻の位置を微調整している。

 完全に位置が決まったら、こんどはずれないうちに手早く背中にシート状のギプス材を貼り、腹部も包帯を巻いて下半身部分と接続した。

「ふーーっ、うーーっ」

 下半身を石膏、上半身を完全にギプスで固められ、鷹美が頬を染めながら妙な顔をして唸る。

「苦しい?」

「いえ、そうでなくて…… もっと呼吸の隙間が欲しかったです」

「バカね、それ以上胸板を厚く作るとカッコ悪いわよ」

「そ、そうですね……」

 鷹美は性的に興奮した時の余裕が欲しくて不満を漏らしたが、やはりここでも呼吸制限はついてまわるようだ。

「アハハ、ロボットみたいね」

 笑いながら金子先輩と男子2人は石膏包帯を巻く作業に入った。

 ギプス材で完全に固められているので、脆い石膏包帯の取り扱いもとても楽だった。

 

 上半身首から上と、左右の肩から先が出た状態の鷹美は、さらに石膏を塗り込まれてゆく。

 先に背中を全部覆われ、後から前面だった。

 金子は丁寧に鷹美の胸を形造る。

「仕上げは最後にするけど、こんなもんでどう?」

 鷹美が胸を見ると、本当にそこに白い自分のおっぱいがあるように二つの胸が飛び出ていた。

 乳首は緩く尖り、少し左右に開き気味になった乳房は、石膏なのに柔らかな動きさえ感じる。

「すごい……」

 鷹美は真剣に感心した。

 だが次の瞬間、本当に自分の乳房が晒されるような気分になり、さっきまで本物を露出していたにもかかわらず、作業中の男子の目さえ気になりはじめた。

122 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/09(火) 23:31:50 ID:IE2+Avyu0

「今度は腕ね。片方づつ巻くわよ」

 すでに足から上半身まで完成ポーズのまま固まっているが、腕と首から上はまだフリーだ。

 指先から巻き始め、最後に肩口で胸のパーツと接続される。

 指先は厚くならぬよう、また力の負担も少ないので、本当に添える程度の巻きつけだ。

 ハサミで指先の余剰を切り取る。

 それでも硬化すると指が動かせなくなってきた。

 硬化しないうちにポーズの最終調整をして、右腕が固まった。

「ふーーっ、うーーーっ」

「大丈夫? 痛くはないはずだけど」

 金子が心配そうに鷹美の顔を覗き込むと、鷹美は真っ赤になって目を逸らせた。

「はい…… 大丈夫です……」

 左腕も巻かれ、ポーズをつけて固められた。

 材質の差こそあれ、鷹美の出ている部分はもう首から上だけになった。

「うーーーーっ」

「知ってるわ…… きもちいいのね?」

「……はい……」

「そして、晒されるのに期待してる……」

 鷹美はハッとした。

「それは……! ……期待してません! ……仕方なく……」

「うそ」

「いやぁ! 煽らないでください!」

「まあいいわ、手を仕上げてしまいましょう」

123 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/09(火) 23:34:07 ID:IE2+Avyu0

 左右の手はもう完全にギプスで固まっていたので、他の部分と同じように石膏包帯を巻かれ、石膏を塗り込められた。

 しかし他の部分と違うのは、作業が非常にデリケートで丁寧だということだ。

 特に指先は乳房や乳首を形造った時のような繊細さだ。

 まだ動く首を回し鷹美がやや後ろに固定されてしまった指先を見ると、当然本物より一回り太くはなっているが、それを感じさせないほど緻密で美しい仕上がりだった。

 

 風呂に入る時の自分の裸体と同じように、あまりに身近にあるものは意識しないと日常に溶け込んで認識されない。

 鷹美は改めて石膏像にされた自分を見、再び全身に力を入れてみた。

 ウレタンの時のように、革拘束された上に埋められる状況よりも、文字通り指一本動かせない超拘束。

 期間や規模は小さいが、容赦無さではウレタンよりはるかに上かもしれない。

「あ……! や……! あ……!!」

 鷹美は自分の立場を完全に脳で認識した。

 本当に胸以外1mmも動かせない!!

「自分が無力にされたのがわかったのね?」

「あ…… いや……」

「もっといいこと教えてあげる。私達が求めている石膏像は、ただぼんやり突っ立ってる石の塊なんかじゃないのよ」

「それって……?」

「冷たい外観を眺めているのに、身体の芯が疼くような、強烈な内圧を秘めた像が欲しいの。それはこの前計測の時あなたに会った部長の念願でもあるの。さあ、もっと内圧を高めましょうね」

「ひ……」

 ウレタンの時といい、なぜ超拘束に係る者は内圧が高まることにこだわるのだろうと鷹美は思った。

「まずこれを見て」

 金子が手にしたアナルバルーンのような器具を見て、鷹美は顔を歪めた。

「なんですかそれ」

「あなたが良く知っている先生から送っていただいたそうよ。私は詳しい事情はしらないけど、お尻の穴を器具で固定されている子の、腸のさらに奥を膨らませて子宮まで振動させる装置ですって」

「いやあああああああああああ!!!!」

 鷹美は生首だけの状態で絶叫した。

129 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/11(木) 00:17:05 ID:qrJNF6+i0

「まさかそれ、あたしに使いませんよねッ?!!」

 首から下は、そよ風を受ける優しい石膏像姿の鷹美が、ものすごい形相で叫ぶ。

 それを見て、今までまじめな表情を崩さなかった金子がトロンとした淫らな目つきに変わった。

「ああ…… いいわ…… どんどん高まる…… これで固めたら最高の石膏像が出来るわ……」

「きゃああああああああ!!!」

 鷹美は自分の身にこれから起こることを想像して絶叫した。

 

「いやっ! いやああ! 真剣にいや! そんなもの入れて固められるのいやあぁ!! 出して! 出して下さい!!」

「あら、『固められるの嫌』って、もう固められてるじゃない? 手遅れよ」

「ひいいいいいい!!!」

「あなたたち、一般課でも特進に興味あるって言ってたわよね?」

 男子たちに問い掛ける。

「は、はい……」

「なら、多少汚いことも経験できるわよね」

「……覚悟してます」

「な!何やらすつもりですか!」

「うんち。 ……妃埼さんのうんちの始末」

「いやあああああ!!!」

 3人が背後に回り、鷹美の視界から消えた。

 すでにカチコチに石膏化している尻を触られたが鷹美には何も感じなかった。

 尻の栓のネジ穴のゴムが外され、太いドライバーで蓋が回された。

 ぷすーとガスが漏れて蓋が外れた。

「あら、奥で溜まってるみたいね。ちょうどいいじゃない?」

「いやああああああ!!!」

 鷹美は指先すら動かせない我が身を真剣に呪った。

133 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/12(金) 00:06:57 ID:8eAt4anc0

 金子は、理科の実験室で見るような試験管のゴム栓に穴が貫通したものを、使い捨ての大型浣腸に通し、鷹美の尻の穴に押しこむ。

 そのままゆっくりと全量絞り入れた。

「ひあああぁぁぁぁ~~~~」

 消え入るような悲鳴を上げるが、鷹美のポーズは全く変わらない。

 量が多いのですぐに内圧が高くなった。

 しかも完全に固められているので、ウレタンの時のように全く余裕がない。

「あ!」

 男子の驚いた声。

 プシッと漏れたようだ。

「音がしない時が漏れる時よ。グルグル言うのは圧が逃げてる時。今こそしっかり押さえて」

「はい」

 ゴゴゴゴゴゴと鷹美の腹が鳴った。

 少し楽になった。

 

「あ…… あ…… くううぅぅん!!」

 また圧が上がり、鼻が鳴ってしまう鷹美。

 そしてゴゴゴと楽になる。

 

「もう出させてくださいいいい!」

 5回目くらいで鷹美は哀願した。

「そうね、さあ、飛沫にに気をつけて」

 後ろでゴトゴトとバケツを準備するような音。

 続いて何の予告も無くビシャア!という音とともに鷹美は楽になった。

 ぽふぽふと低い音の連続で排泄が続く。

 どろどろと出ている間、姿勢も全てそのまま、腹圧を調整する以外に何もできない鷹美。

 最後にまた軽く浣腸され、そのまま出さされた。

 アトリエに汚臭が充満する。

 男子の一人がバケツを持って出て行った。

「あああ~~ん!!! グスッ、グスッ」

 後輩に排泄を見られて汚臭を嗅がれた羞恥で、鷹美は泣き始めた。

134 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/12(金) 00:08:32 ID:8eAt4anc0

 泣きながら尻に違和感を覚えた。

 栓が戻されたのかと思ったが、それはどんどん膨らんでくるようだった。

 無音で膨らむものに恐怖を覚えた。

「ひいいいい! 何っ?!!」

「あ、これ、さっきのプラグを入れて、専用のオイルを注入してるの。このオイルが振動を良く伝えるそうよ」

「きゃあああ、うんちが! うんちがまた溜まる!」

「だからそれはシリコンオイルの入った硬質ゴムの袋よ。説明書きには限界まで入れても腸が破れないサイズにしてあるって書いてあるわ」

「ちょ、腸、いやああああ!!  ……お。」

 鷹美はいきなり内臓の内部で子宮が背後から押し上げられたような気がした。

「これで一杯みたい。リモコンは…… ああ、手がベトベトだわ」

 

 突然、腹の奥が振動を始めた。

「きゃああああああ!!!! うんちしたい!うんちしたいのにぃぃ!!」

 強引に直腸を膨らますことにより滅茶苦茶な便意が起きているのに、そのまま直腸越しに子宮頚部を裏側から振動させられ、発狂しそうなパニックに襲われた鷹美。

「きひいいっ!気持ちいい!なにこれ!すぐイク! お腹の奥が熱いのぉぉ!!」

「ふう、成功ね」

 ウレタンの時にさんざん馴染んだ子宮頚部を刺激する性感を、別の方向から与えられてイキそうになっていた鷹美は、絶頂直前にそれを取り上げられて激しい虚無感に襲われた。

「ひ!!! いやああああ! やめないでくだしあああ!!」

「やめろ・やめるなって忙しいわね。でもずいぶん圧も高まったし、バケツ洗いに行ってる彼が戻ったら顔を巻くわよ」

「き!きいいいい! こんらじょたいでまくんれすか! こんなんんで石膏像できましぇん!! らして! らしてくらさい!!」

「『こんな状態』だから巻くのよ」

「ひぎいいいいィィ!!!」

138 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/13(土) 00:03:42 ID:bL7+8+H50

 真っ青で嫌な汗をダラダラたらしている鷹美。

「嫌なら逃げてみなさいよ」

「あぁ…… う…… あ!!」

 バイブは止まっているのに鷹美の瞳孔がキューと縮み、いきなり快感の渦中にいることがわかる。

 先程子宮頚部を刺激され、直前でストップさせられたアクメが、金子の言葉でいきなり発動し、イッたのだ。

 しかしステップアップして得たものではないアクメは数秒で解ける。

 中途半端な絶頂はパニックの加速促進剤となるのだ。

「ハア…… ハア…… ハア……」

 バケツを始末に行った後輩が戻ってきた。

「さあ、顔を巻くわよ」

「いやっ! いやあぁぁ!」

 鷹美は顔の自由を奪われることにウレタンの時よりも恐怖を感じた。

 

 噛み合わせすぎにより歯を痛めるのを防止するため、U字型をした薄いプレートを噛まされた。

「お願いれす、お尻の抜いて……」

「そのプレート、口の水分で硬化するんだから、喋るとずれちゃうわよ。黙って」

「んんん~~~~」

 口枷ではないので、口を閉じるのは鷹美の自由意思だが、もう逆らえる雰囲気ではなかった。

 青い包帯で、まず残酷なことに頭頂部から顎にかけて縦に巻かれた。

 顎の開閉を封じられ、いきなり言葉を奪われた。

「んーーーー!」

 それから徐々に水平巻きに移り、鼻の穴も覆われた。

「んんんーーー!!」

「心配しないで。あとで穴を明けるから。今は包帯だけだから平気でしょ?」

 包帯に包まれた鷹美はお尻と子宮が気になって、頭がおかしくなりそうだった。

 目も巻かれ、まだ明るさは感じるが視界は完全に奪われた。

「んんーーー!!」

 ついに頭が全部包帯で巻かれてしまうと、もう逃げられない絶望に、心のヒューズさえ飛びそうだった。

141 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/13(土) 23:50:46 ID:bL7+8+H50

 実際、道具建てがおおげさなほど、身体的負担は少なかった。

 今度はEMSもなくただ直立したままでいったいどのくらい過ごせばいいのだろうか。

 温度を調節する機構もなく、実質石膏の下は二重の包帯だけだ。

 ガラス繊維と樹脂が多少の保温にはなってはいるが、逆に直射日光に晒されたら今度は灼熱地獄になりかねない。

 

 鷹美は精神的にもがきにもがいていた。

 お尻の煽りさえ無ければ、淡々と顔まで固められていただろう。

 固められてからこのプラグを使われても状況は一緒だったはず。

 しかし順番を逆にされただけで身体状況は一緒でも精神状態が全く違ってしまった。

 金子先輩があえてプラグを先にしたのは、この鷹美の絶望っぷりこそが金子にとってのご馳走に他ならないからだ。

 

 もがいて頭を振る鷹美に、ついにギプス包帯が巻かれた。

 巻くだけなら首しか動かせない鷹美にするのは簡単だった。

 金子はちょっと考えてから、首から先に湿らせて、男子二人を椅子に立たせ、鷹美の頭を固定させた。

 鷹美は最初あれだけ平気だったのに、今は自由を奪われることにものすごい恐怖を感じていた。

 鷹美はまるでワインボトルのような瓶に閉じ込められている気分だった。

 水位はすでに口まで達し、もう鼻が沈む。

142 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/13(土) 23:51:56 ID:bL7+8+H50

 首回りが温かくなり、もう顔を捻ることも傾けることも出来なくなった。

「ンーーーーッ!!!」

そして後頭部を濡らされ、固まる時に髪の毛のスペースを可能な限り潰された。

 そして側面を濡らされ、耳の形を丁寧に浮き上がらせられた。

 そしてとうとう顔。

 小さなアイスピックのような金属の器具で、包帯の繊維を切らずに目地を広げるようにして呼吸路を確保した。

 顔を濡らし、固まる時に木べらで鼻筋や目のくぼみ、唇の形をトレースした。

「ンフン…… ンフン…… ズル」

 鷹美はお尻の中がきつくて、子宮が押されて、そして絶望して泣いていた。

 本当に今にもうんちもらしそうなほど排便要求がすさまじく渦巻いているのだ。

 そして泣いているうちに鷹美はとうとう顔まで完全に固められてしまっていた。

 内部は排便焦燥で真っ青、絶望で涙ぐちゃぐちゃなのに、そよ風に顔を晒すような穏やかな表情を金子先輩にヘラで強要されていた。

 

 鷹美は、身体も顔も、ギプスだろうが石膏だろうが固まってしまえば恐怖や拘束感はもう関係無いと思っていたが、あのウレタンの時のようにまぶたの裏の明るさが奪われることは鷹美の恐怖を倍増させた。

 硬化熱が過ぎたあとのギプス材に石膏包帯が巻き付けられてゆく。

 巻き付けられた後には、湿気を含みスーッと冷える。

 古いモルタルビルの中に入ったような涼しさ。

 そして硬化熱を持って固まる。

143 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/13(土) 23:57:04 ID:bL7+8+H50

 鼻の穴が再び養生され、石膏包帯に穴が明けられた。

 最終的には鼻の穴はそのまま呼吸穴として残る様子だ。

 真下から覗かないとわからない程度にカムフラージュされるようだ。

 だんだんまぶたの裏が暗くなる。

 もう鷹美にはどこをどういじられているのか触感は無いが、振動と冷たさでおよその場所は感じ取れる。

 仕上げの関係か、後頭部がまず石膏で塗り固められ、次に側頭部と耳が固められた。

 耳は仕上げにたっぷりと時間をかけた。

 とうとう額から目に冷たさを感じ、顔が石膏で覆われた。

 ブルーの下地包帯を巻かれた時点でもう目は開けられなかったが、今はまぶたに感じる光さえ完全に奪われた。

 それと同時に、鷹美は完全に頭部顔面も石膏化し、ヘラで仕上げられ、穏やかな表情を強要されてしまった。

 

「感じる…… 感じるわ…… この穏やかな表情の奥に隠された地獄の苦悶が」

「(んーーーー!!)」

 石膏で減弱されてはいるが、鷹美の悲鳴が聞き取れる。

「あら、もう8時? あなたたち、もうすこしがんばってね」

 金子は切り出しナイフ、紙やすり、エヴァンス彫刻刀などを使って凹凸を均し、傷を埋め、石膏のつなぎめの色の差を調整した。

 

「あとは乾かないと無理だから、明日にしましょう」

 金子先輩と二人の後輩男子は散らかったアトリエを片づけると、まるで本当に石膏像を放置するように、鷹美に何のケアもせず、そのまま電気を消して部室を出た。

「(んーーーーーーー!!)」

 鷹美は喉の奥で叫んではみたが、もう誰かの動く音は感じなかった。

147 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/14(日) 22:39:19 ID:Y2Zyeowg0

 浣腸されているわけではないので、便意の波は変化がない。

 圧迫による腸の壊死など心配なことも多いが、このままではどうすることも出来ない。

 表情を固定されてしまうと、唇すら動かせないことに気づいた。

 浅く制限された呼吸以外、全身ピクリとも動けぬまま、内部からおぞましい便意と子宮頚部の快感で発狂させられそうな鷹美。

 

 もう発狂した、と思う暗闇に落ちては、短い快感を得て覚醒し、それが不快なまどろみの一部だと知る。

 絶望の覚醒、そして超拘束の認識、そして発狂、また暗闇。

 空気の動きの止まった部室の中の、人型の暗黒の中で、鷹美はこの不毛なサイクルを何度経験しただろう。

 

 思考は停止し、ただ排便だけを渇望する。

 尻の筋肉の痙攣、断片的な失神、全身の痺れ。

 時間の感覚も失った、永遠の絶望の中を漂う。

 

 ウレタンの時のような、苦しくとも甘い幸せ、寛貴との繋がりもある絶妙な拘束空間ではなく、ただ従わされるだけの、配慮のかけらも無い、惨めで無抵抗な空間に閉じ込められた鷹美。

 ウレタンのように長期に閉じ込められたら、確実に死ぬか身体に傷害を負うだろう。

 数日のこととわかっていても、ウレタンより絶望度は高い。

148 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/14(日) 22:39:46 ID:Y2Zyeowg0

 もういや!

 腕だけでも力任せに壊して、せめてお尻の栓だけでも抜いて楽になりたい。

「ムギイイィーーーーーッ!」

 発狂パニックに便乗し、文字通り狂ったように腕に力を込める。

 ミシミシと軋むギプス材。

 

 そして……

 

 本気出せば少しは何とかなると思っていたことが、完全否定された時の猛烈な無力感を鷹美は味わっていた。

 鷹美の認識の最後の拠り所が、『石膏像になることに協力しているつもり』から、『石膏像化処刑執行を完了された』に切り替わった瞬間だ。

 

「(んんんーーーーーーっ!!)」

 鷹美は短いアクメを迎える。

 だがそれは望まないアクメ。

 電マで味わされた時のような、望まないのに止められない、不快なアクメ。

 でももう鷹美はそれから逃れる術をすべて絶たれた。

 便意を意識すると、ピカッと脳内が発光して絶頂を迎える。

 絶頂時に体を硬直させることすら許されない。

 さわやかなそよ風を愛でるポーズを強要されたまま。

153 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/16(火) 00:51:59 ID:PqFodlCT0

 絶頂後の暗闇でうつらうつらするだけの夜が明けた。

 鷹美はあのウレタンの時のフェラマシーンのように、自分が石膏像の芯という「部品」になりつつあるのを感じた。

 極限の超拘束調教を受け、心がモノに変化する。

 

 しばらくして部室の戸の開く音がした。

「フフフ、目にした瞬間に感じるオーラがあるわね。狙い通りで嬉しいわ」

 カツカツと金子は鷹美像に歩み寄り、傍にあった道具を無造作に手にすると、中に人が埋め込まれていることなど全く気にしない様子でいきなり顔を削りはじめた。

 鷹美は金子が目の前に居るという認識はあるが、昨日から無限に続いている排便欲求で意識が濁っていて、自分が何をされているのかを推察する余裕が無い。

 ほぼ乾燥した石膏面をカービングナイフと紙やすりで仕上げてゆく金子先輩。

 顔を仕上げ、乳首を仕上げ、肩、腹、足、指と全身を磨いてゆく。

 

 鷹美はまだ混濁の中にいた。

 すべて仕上げ終わった金子が昨日の後輩2人を呼んできた。

 鷹美の排便欲求は、ウレタンの前に奴隷となった時のように、この責め苦を赦してもらえるなら何でも言うことを聞きます奴隷になりますというところまで来ていた。

 突然、ピカッ!と鷹美のまぶたの裏に明るい光が渦巻いた。

 子宮頚部アクメの嫌な光ではなく、もっと解放感を伴った明るさだった。

 金子が地獄のアナル責め具から、シリコンオイルを抜き取っていた。

 瞬く間にあれだけ渦巻いていた便意は嘘のように消え、焦燥感も霧散した。

 全身を包む包帯に染み込んだ不快な汗が、ただ冷たく感じる。

 

「(んーーーーーーーっ!!)」

 鷹美は石膏像化処刑を完了され、1mmも動けない身の上で、激しい従属感の充足感を味わっていた。

 ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます

 ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます

 ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます

 もう何でも言うこと聞きます。

 鷹美は左右の耳の穴から「こころ」が流れ出て行くのを感じた。

158 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/17(水) 00:51:49 ID:Pj4IU5j70

 アナル責め具の抜き取られたその石膏像の尻の穴は、何か物欲しげに暗黒の入り口を晒していた。

 そこに何かが入って来た。

「ふーん、こんなものお尻から入れて栄養摂れるのかしらねぇ」

 専用に開発された、半生の棒状栄養剤が3本挿入され、再びアナル責め具が戻された。

「(ぐっ、んんん!)」

 大腸の一部に逆流する形で栄養を吸収させるので、全ての栄養を補うことはできないが、3日くらいならなんとかなるという代物だ。

 もともとの容積に加えてさらに腸が圧迫される苦痛に怯悲鳴を上げる鷹美。

 予測を裏切らず、またシリコンオイルが戻され、鷹美は再び便意地獄に落とされた。

 シリコンオイルが完全に充填されると、また子宮頚部が持ち上げられ、キューーッと切ない気持ち良さに襲われた。

「オイルが残ってると石膏が乗らないわねぇ」

 どうやら栓も石膏で固めているらしかった。

 ただ上を覆って質感の差を無くす作業かもしれないが、鷹美にはその言葉が充分恐怖だった。

 最後に尿道のゴム栓が抜かれ、排尿させられると、ほんの少しだけ楽になった。

 

 鷹美はついに石膏台ごと台車に載せられ、ごろごろと廊下を運ばれ、校庭に運び出された。

 両親と転入手続きに来た時に見た、あの石膏像が並んでいた芝生に据えられた。

 今は石膏像は鷹美だけであった。

 まだ朝も早く、クラブの朝練の生徒以外はだれもいない。

 金子は設置用に掘られた窪みに3人がかりで鷹美をはめ込むと、安定を確認して朝食をとりに食堂に向かった。

「大変、忘れるところだったわ」

 金子先輩は立ち止まると鷹美のリモコンを取り出し、弱にセットしてからその場を離れた。

「(むうーーーーん!!)」

 鷹美の悲鳴は広い校庭に吸われて消えた。

162 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/18(木) 01:27:28 ID:5aiNA65m0

 栄養を尻から逆流注入された鷹美は、昨日消耗し切った体力を少し取り返していたが、腸の奥で子宮が振動するバイブを動かされてしまったため、せっかくの栄養は再び嫌な汗と望まない絶頂のための痙攣エネルギーへと変換させられてしまう。

 心が石膏像の芯として隷属しても、つらいものはやっぱりつらかった。

 パンパンの便意に強烈なアクメで気が遠くなる。

 

 部室棟はグランドを挟んで教室棟と反対側なので、皆真新しい石膏像の存在を認めてはいたが、長い休み時間になるまで近づく者は無かった。

 寛貴は鷹美の像を遠くから見て、傍に行って声をかけてやりたい衝動に駆られたが、緊張の中で頑張っている鷹美の気持ちが削げてしまってはと、思い直した。

 寛貴は鷹美の子宮頚部を圧迫している凶悪なバイブの存在は知らない。

 

 昼休み、鷹美の周囲には弁当を食べる子たちが座っていた。

 みんなチラチラと鷹美像を見てはいるが、第一に割れ目までかなりリアルな作り込みの裸婦像なので、あまり人前で直視することが憚られた。

 女子は恥ずかしさから。

 男子は女子の目を気にしていた。

 そんなわけで、あからさまにジロジロ見る者はいなかったが、周囲の話し声は鷹美の耳に入ってきた。

 特進課の生徒は中身を知っているので、もし自分の番でも来たらと心配しているため、聞えよがしな評価などしないが、一般課の生徒は関係者以外、まさか中に人間が拘束されているとは思わないので、乳首の形や尻の形ふくらはぎの形まで口に出して評価していた。

 顔をや視線を固定して凝視していないだけで、殆どの人間が鷹美の擬似裸体を目に焼き付けていた。

 

 当の鷹美は、ずっとずっといつ果てるとも知れない、便意と快感のないまぜになった地獄に居た。

166 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/19(金) 01:42:01 ID:LGEQhwEU0

 鷹美は石膏像の中で夢を見ていた。

 温かい風呂に浸かっている夢。

 ウレタンの時もそうだった。

 極限状態に置かれた脳が創り出す、虚構の安らぎ。

 脳を保護するために手足の苦痛を遮断し、甘い夢を見せる。

 だがそれは死や発狂と隣り合わせの極限の選択、長続きはしない。

 風呂から身体が出られない、出ようとすると呼吸が止まる。

 脳が休養を取り緊急状態が解除されると、一気に全身の感覚が戻り、石膏づめの悪夢の中へと覚醒する。

(いやーーーーーっ!!)

 脳内で絶叫する鷹美。

 恐怖にかられてまぶたを開こうとしても開けないというのは相当に怖い。

 ウレタンでさんざん味わった、覚醒直後に微動だにできない恐怖。

(ハッ……!)

 意識が失神前に戻り、全身状態を認識する。

(そうだ…… 石膏の中……)

 ぐわーんと頭の中心に、忘れていた便意と快感が蘇る。

(あっ……)

 そしてまた何十回目かのアクメという絞首台への、13階段の1段目。

 

 子宮頚部を押すバイブの振動が、もう振動を振動として認識しなくなりはじめている快感神経を無理矢理刺激する。

 膣入口ではなく、膣奥を直接揺すられるありえない快感に、膣内の粘液腺が大量の蜜を吐く。

 まるで蜂蜜を含んだ筒状のスポンジを下方へ搾るが如く、中に溜まった粘液が貞操帯の内側を濡らす。

 そしてそれは僅かな隙間から洩れ、股間の包帯を追加で湿らせ、長い時間を掛けて、ガーゼの目地を辿るように、ギプス材内部の内股に不快に拡がってゆく。

 蜜の溜まった膣は更なる刺激を求めて打ち震えるが、封鎖された空間ではそれは叶わず、鷹美は惨めな渇望をしばらく味わう。

 しかし、電動の快感は溜まる。

 13階段を1段ずつ踏みしめるように。

 そして、再び望まぬアクメへ。

169 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/20(土) 02:18:42 ID:0spJ4eW60

 やがて陽が強く当たり、快感にだけ身を委ねているわけにはいかなくなった。

 便意の不快さが灼熱地獄の中で拷問にも等しい苦痛を鷹美に与える。

 一時的に性感は制限され、ただひたすら暑さに耐える時間が続く。

 汗は一旦下地包帯に吸われ、重力で足に集まり、脚部のギプス材のわずかな隙間から石膏包帯と石膏内面を濡らす。

 石膏は吸水・乾燥するので少しずつではあるが表面から蒸散してゆく。

 やがて陽も陰り、汗も落ち着いたが、鷹美は猛烈な痒みに襲われていた。

 包帯の下で結晶化した汗が皮膚を刺激する。

 それに加えて足の鬱血も気になり始めた。

 筋肉がきつくて痺れるのは予想内だが、電気刺激による運動などが一切無い状態では半日でもこんなに辛いとは。

 

 夕方になり、運動場の喧騒はクラブ活動による短一なトーンへと変わる。

 やがてそれも聞こえなくなり、辺りは涼しくなった。

 しばらくすると、あらゆる刺激でぐちゃぐちゃの鷹美の脳に、会話が流れ込んできた。

「今日は御苦労さま。夜は責め具は抜いてあげる。夕食をどうぞ」

 尻の石膏が一部砕かれ、バイブの振動が止まる。

 シリコンオイルが抜き取られると、急速に便意が消えた。

 その時点でもう鷹美は疲労から石膏像のまま眠り込みそうだったが、辛うじて耐えた。

 特殊プラグが抜き取られ、試験管のゴム栓のようなものが付いた浣腸器で浣腸され、腸内を洗浄された。

 そして再び半生の食糧が尻から押し込まれ、今度は通常の栓が戻された。

 尿道栓が抜かれ、排尿させられ、また栓が戻された。

 鷹美はようやく緊張の失神ではない、安らかな眠りに落ちた。

 石膏像の姿のままではあったが。

174 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/21(日) 02:09:02 ID:zSECTfhm0

 深夜、未だ石膏表面から蒸散する汗で体が冷えて何度か目が覚めたが、起床時間の制限などない鷹美には充分過ぎる睡眠だった。

 極端に冷える数時間が過ぎたあと、モヤッと暖かくなり、鷹美は完全に目覚めた。

 完全な休息を与えられたためか、目覚めた瞬間拘束の中に入れられていることに気づく恐怖はそれほどでもなかった。

 

 金子先輩たちが近づいて来た。

 金子はまた鷹美に排便と排尿をさせると、また食事棒を押し込み、あのアナル栓をはめた。

「(んーーーーーーーーっ!!!)」

 鷹美は休息のあとには責めが待っていると覚悟していたが、実際にまた腸の奥を子宮が持ち上がるほど拡張されると絶叫した。

「見えないだろうから教えてあげるわ。今日で裸はおしまいよ。今度は制服像になるのよ」

 

 金子たちは中央に穴の明いた、切れ込みのあるグランドシートを鷹美の周囲に敷いた。

 そしてまず鷹美より2サイズ上の古着の制服を取り出した。

 それは既に袖や背中に切れ込みを入れ、タイやリボンを縫いつけて加工したものだった。

 金子はそれを鷹美の石膏像に着せてみて、サイズやバランスを確認すると、少しためらってから石膏分割バサミを出し、鷹美の石膏の乳首をバツンバツンと切断した。

 

 そして金子は後輩にポリバケツ一杯にゆるく練った石膏液にまずスカートをドボリと漬けた。

 手早くスカートを鷹美に着せ、切れ目部分を大きな洗濯バサミで合わせた。

 さらにワイヤーハンガーを曲げて準備した支え具で、スカートがふわりと広がったように見える状態に固定した。

 続けて手早く制服の上を石膏に漬け、鷹美像に着せ、スカート同様裾から金具を入れて制服のボリュームを表現した。

 リボンはぺちゃんこになっていたが、今の時点ではどうしようもなく、少し石膏が固まりはじめたところで、金子がスパチュラで引き出し、形を整えた。

 その部分の石膏はボロボロと粉っぽくなってしまったが、金子は気にせず、制服やスカートの必要な部分も強引に形を整えた。

 すでに鷹美の尻は石膏スカートで完全に覆われ、もう像を破壊するまで尻にアクセスすることはできなくなった。

177 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/22(月) 01:17:17 ID:e/GpKOW/0

 石膏が完全に固まると、金子は慣れた手つきでスパチュラを振り回し、水滴のように垂れて固まった石膏をガガガと弾き落とし、新たに練らせた石膏で、調整時にボロボロになった部分を仕上げ、形の悪い部分には盛り足した。

 完全に硬化してからワイヤーハンガーを全て抜き、小刀のようなものと紙やすりで仕上げた。

「金子くん」

「あ、部長」

「さすが、造形では僕も君にかなわないよ」

「ありがとうございます」

「裸像もよかったけど、制服姿もいいね」

「せっかく作った胸を切るのがもったいなかったですけど」

「ああ、あれ、切ってしまったのか。うん、でもこの方が自然だね」

「はい」

「妃埼さん、ありがとう。もうすこしがんばってくれ」

「(うーーっ)」

 鷹美は別に答えるつもりもなかったのだが、声を出すことで自分自身の存在を再確認したかった。

 

 またまた鷹美は便意と快感の地獄に落とされた。

 その中で鷹美は惨めさの恍惚を再び味わっていた。

 自分はただ石膏像に体温を与えるための、芯としての部品の存在。

 部長と金子先輩の話の内容、それに左右の胸の衝撃から、乳首が切断されたのだと知る。

 もちろんその乳首は石膏の造り物ではあるが、そんなグロテスクな行為まで自在に加工されてしまう惨めさが、鷹美を被虐の快感へと導く。

 無慈悲にバイブが起動され、こんどは容赦ない高回転で腸が、そして子宮が体内から叩かれる。

「(んんーーーーーーーーーーーーーっっ!!)」

 目の裏にまばゆい星が出て、激しくイク鷹美。

 

 校庭が騒がしくなり、制服石膏像としての鷹美の一日が始まった。

 金子たちがいつグランドシーツや材料を片づけて去ったのかすら鷹美にはわからなかった。

181 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/23(火) 01:35:10 ID:FUMtRAUK0

「今度の美術造形部のコレ、素敵よね」

「そうね、さすがに裸婦像はまともに見らんないけど、こうして制服着てると細部までじっくり見れるわね」

「……ねぇ、今まで見た像と何か違わない……?」

「んー、仕上げが丁寧? 今までのって、何か急いで造ったような荒っぽさがあったじゃない? 今度のは細かい所まで仕上げてあるわ」

「……そうじゃなくて…… それもあるけど…… もっと…… ……んっ…… ……もういいよ、行こう」

「うん」

 鷹美は絶対自分の念波が漏れたのだと思った。

 (うんち…… ウンチ…… うんちいいいいぃぃぃぃィィィ!!!)

 快感にバイアスをかけられた激しい排便要求しか頭になかった。

 動物から一番遠い、静物の石膏像が、最も動物らしい生理欲求で苦しみ続けていることを想い、鷹美は自嘲した。

 

「おいこれ……」

「おれは裸よりこっちがいいな」

「バーカ、裸がいいに決まってんだろ」

「校庭に女子の裸ってどんな必然だよ。俺は異常すぎて萌えねーな」

 鷹美は昨日の自分の姿がどんなに異常だったのか、具体的な感想を耳にして、羞恥に焼かれた。

「それにな、知ってっか? 美術造形部では特進課の女子を石膏にドボンと漬けて、石膏像造るんだってよ?」

「まさかぁ! 死んじまうだろ」

「だからぁ、形さえ採れれば、中身の生死はもうどうだっていいわけよ」

「だから今までの像って表情がカタかったのか?」

「そうだ。今度のヤツは先に殺してから石膏に漬けたんじゃね?」

「ひいっ!」

「バーカ、マジに取るなよ」

185 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/24(水) 02:53:06 ID:2Rh/pDUw0

 しばらく会話が聞こえたかと思うと、チャイムを合図にまた会話は消えた。

 遠くで体育の授業をするざわめきを校庭に残し、鷹美の周囲は穏やかな陽の射す空間へと戻った。

 しかし、当の鷹美はまた快感と便意と日射しによる温度上昇で悶え苦しんでいた。

(同じ刺激でも、自分が楽しめる落ち着いた空間で思い切りイケたらどんなに楽しいか)

 鷹美は不快空間での性快感を呪った。

 

 内股がびちゃびちゃになる発汗地獄を通り過ぎ、日射しも少し和らいだころ、金子の声が聞こえてきた。

「ああもう、もっとあなたを独占していたいのに、レザークラフト班の連中が早く早くとうるさくて。いっそ何か事故でもおきたことにして、このままずっと使い続けたいわ」

「(んーーーーーー!!!!)」

「ウフフフ、冗談よ。そんなアンフェアなこと、ましてや特待生をキズモノにしたらこの学園に居られないわ。次は革みたいだから今とは全く逆よね。見たことあるけど、自由に歩き回れるわ。でもやっぱり動けるってだけで、あなたにとっては全身すっぽり入る檻よね。しなやかな檻」

「(うーーーっ!!)」

 鷹美は金子先輩の言葉煽りでまた絶頂を迎え始めた。

 

「残念ながら今日いっぱいが期限だけど、すばらしい石膏像を造るのに協力してくれた妃埼さんには私からプレゼント。 ……残り、たっぷり楽しんでね」

 その言葉で鷹美は金子が何をしようとしているのか察し、反射的に絶叫した。

「(んんーーーーーーっッッ!!!)」

 金子は鷹美の子宮を腸側から突き上げているアナルプラグ型のバイブレーターのリモコンを取り出すと、ためらいもなくMAXにしてその場を立ち去った。

200 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/27(土) 10:53:46 ID:TY9RsdEB0

 全開のモーターが発する熱で、腸の奥が焼けそうに熱かった。

 クリトリスを直接刺激する電マ程ではないにしても、「弱」で充分イク程の刺激を、最強にされてしまい、鷹美はのたうちまわっていた。

 だが、せめて普通の拘束程度の自由があれば、正体もなく泣きじゃくり、拘束の限界まで暴れ、やめてやめてと赦しを乞うところであるが、動きも言葉もすべて奪われ、無意識に暴れる時の強大な力をもねじ伏せるだけの強度をもった殻の中で、ピクリとも動けないので、ただ明滅する脳内電流の発光をまぶたの裏に感じつつ意識を快感の濁流にもみくちゃにされるままだった。

 

 内臓を直接辱められているのに、ただ突っ立ったままの自分が情け無さすぎた。

 きもちいいのに、くやしい。

 素直な気持ちでイケない。

 イカされるのが悔しい。

 でも全く抗えず、止められない痙攣の中で呻き続けた。

 途中バッテリーの限界が来て、徐々に回転数は下がっていったが、夜までずっとそのままだった。

 

 夜になってフッと完全に振動が止まった。

 しかし鷹美は体力と気力の限界に達していて、まるで窒息ビデオの結末のように、完全に脱力した体で白目を剥き、精神的にもカサカサの虚無状態だった。

 ウレタンの時はセンサーによる検知とシステムによるケアが入るのでここまで疲弊することはなかった。

201 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/27(土) 10:54:09 ID:TY9RsdEB0

 校庭から土台ごと掘り出され、運ばれて来た時と同じように台車で部室に戻される。

 廊下は真っ暗だったが、部室はまだ明かりがついていた。

 金子先輩と二人の後輩は押してきた台車をアトリエに敷かれたビニールシートの上で止めると、鷹美像をシートの中心に下した。

 そして3人とも作業着を着ると、ゴーグルとマスクを着けた。

 四角四面の箱から太い蛇腹ダクトの生えた、可搬式クーラーに似た装置を置き、ダクトをこちらに向け電源を入れると、すごい勢いで空気を吸い込みはじめた。

 

 最初は石膏を切る小型の回転ノコだった。

 刃の深さが調節できる安全機構をもつ上に、石膏包帯の下はギプスなので、皮膚まで切り裂くことはない。

 まず制服のあちこちに切れ込みを入れ、金子が木槌で叩くと、バラバラに分割された制服は接合面から容易に剥がれ、鷹美はまた裸像に戻った。

 そして頭部に切れ込みを入れ、そこから、肩、腕、背中まで切れ込みを入れた。

 金子が木槌で丁寧に叩くと、後頭部がヘルメットのように外れ、ギプス材が見えた。

 首回りの切れ込みを確認し、石膏包帯の地がまだ絡まっている部分をハサミで切り外すと、こんどは頭部の前面もきれいに外れた。

 同様に、先に指から壊し、腕、肩と石膏を外した。

 もうもうと立ち込める石膏の白煙は、全部ダクトから吸い込まれた。

 

 3人の前には鷹美の石膏まみれのギプス像があった。

 そのギプス像が微妙にしなる。

「大変! 早く頭を開けて」

 肌の厚みを極力減らすため、通常より遥に薄く巻いたギプス材だけでは、石膏の下地としての強度は充分でも、完全に脱力した鷹美の体重を完全に支えるほどの力は無かった。

202 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/27(土) 10:54:44 ID:TY9RsdEB0

 今度は電動のギプスカッターでガガガと後頭部が割り開かれた。

「(んんん……)」

 すごい振動と音で鷹美は目を覚ました。

「(んーーー! んんんんーーー!)」

 目が覚めた瞬間から工事現場の真ん中にいるような騒音と振動で、鷹美はまたパニックになった。

 しかし、側頭部まで切り裂かれたギプス材がお面のように剥がされ、包帯が剥がされ、首から上、目も口も自由になると、鷹美はようやく解放されるのだと気付いて落ち着いた。

 

「口のプレートを出して」

 鷹美は口を少しだけ開け、舌で押し出すように唇の隙間からデロリと咬合プレートを吐き出した。

 それは鷹美の長いねばつく糸を引きながら、胸に当たって床に落ちた。

「どう? 気分は」

「ふ…… あふ…… おし……」

 口が震えて上手く喋れないようだった。

「無理しなくていいわ」

「う…… おし…… ぬいて……」

「あ! そうだったわね」

 金子がアナルプラグからシリコンオイルを抜きはじめる。

「ああ……!!」

 すると、粉が吹いたように涙と鼻水でガサガサぐちゃぐちゃの鷹美のやつれた顔が、輝くような歓喜と安堵に満ちた顔に変わった。

 歪み始めたギプス像を支えていた後輩二人は、その表情のエロさに股間が超勃起してしまい、支える手を離すことも出来ずにただ赤くなった。

208 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/03/30(火) 00:23:57 ID:6dEvW3mL0

 金子がプラグを抜くと、自然排便の速度で汚物がゆっくりと排出されてきた。

 金子はそれを予測していたのか、ペット用のトイレシートを敷いたバケツで受け、出し終わったところで消臭剤をかけてシートを閉じるとすぐに悪臭は消えた。

 金子と後輩の一人が支える役を交代し、後輩はバケツを処理しに出ていった。

 アヌス栓の座金が消毒され、通常の鷹美の栓に戻されると、何事もなかったように作業が再開された。

 

「痛かったら言ってね」

「はい……」

 やっと少し喋れるようになった鷹美が返事をする。

 電動のギプスカッターでガガガと指から肩まで切り裂かれ、指先から体幹に向かって解放されてゆく。

 ギプス材と同時に下地包帯も剥がしてしまうので、鷹美は足から肩までギプスのノースリーブ状態だ。

 胸部は胸の方に空間があるので前から切り裂かれる。

 まず腰に一周切れ目を入れて、胸を縦に割り、肩にも切れ目を入れて、チョッキを脱ぐように取り外す。

 しかし、鷹美が思うように腕を背中に回せなかったため、背中も縦に切り裂いて、左右に外した。

 

「いやぁ……」

 下地包帯も外され、露わになった胸を隠そうとした鷹美だが、腕が思うように上がらないので情け無い声を上げた。

「大丈夫よ、普段から裸婦クロッキーで二人とも慣れてるから。そうよね?」

「はぁ……」

 二人とも前かがみで曖昧な返事をする。

 これが真面目なデッサン会なら問題はないのだろうが、先ほどの鷹美のエロい表情で鷹美個人に対するエロイメージができてしまい、その本人の裸が眼前に現れたのだからたまらないのだろう。

 いよいよ下半身がギプスカッターで切り裂かれるにしたがい、二人の男子は寡黙で赤くなっていた。

229 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/14(水) 00:57:10 ID:TcvRHHDH0

 鷹美はその時点で上半身は完全に裸、腰から下がギプスに包まれ、さながらギリシャ神話のケンタウロスのようであった。

 腰から尻、太もも、ふくらはぎと一気に切り裂かれ、筒状の構造を失った薄いギプス材は容易に割り開くことが出来た。

 かかとと足首は慎重に切り開かれ、最後に金属貞操帯との接合部をスパチュラで丁寧に剥がされると、バックオープンのサイハイブーツを脱ぐようにズボリと体が後ろに抜けた。

「……あ……れ?……」

 腰の支えを失った鷹美は、自由になって自力で立とうとしたが、間抜けなつぶやきを残してガックリと倒れかけた。

「おっと」

 金子先輩が支える。

「はふっ……すみません……」

 身体がままならないのか、鷹美は虚空を掴むような動作を繰り返しながら金子に体を預けた。

 太腿からネットリと下地包帯が引き剥がされる感触に、それまで呆けたような表情の鷹美が急に真顔になり、わたわたと暴れ始めた。

「き、きたないです、くさい、です、いやぁ!」

 上半身は汗の臭いだけだが、下半身、特にふともも付近は淫水が幾重にも染み込んでいる。

 特に男子二人には触れさせたくなかった。

「あなたたち、このくらい平気よね?」

「はい」

「別に匂わないッすよ? ねばつきがすごいだけで」

「いやあ!」

「バカね、そんなこと言わないの」

「すんません」

 ようやく鷹美は金属貞操帯部分以外、完全に自分の肌を取り戻した。

230 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/14(水) 00:57:33 ID:TcvRHHDH0

 寒々しいアトリエの床にペロリと一枚だけ敷かれた毛布の上に鷹美を寝かせると、金子先輩は片付けを後輩たちに任せ、温タオルを取りに行った。

「今は拭くだけ。あとで寮でお風呂に入ってね」

「はい……」

「頑張って制服だけ着てね。寮までは送って行くから」

「ありがとう……ございます」

 鷹美はうめき声に似た掛け声を掛けて上体を起こすと、金子から温タオルを受け取り、体を拭いた。

 そして体育座りから足が伸びたような姿勢で制服の上を全部着て、ヨロヨロと立ち上がりパンツとスカートを穿いて、ソックスは手に持ったまま靴をつっかけた。

 

 金子先輩の肩を借りてヨロヨロと出口に向かって歩き始める。

 全身の関節が軋む。

 鷹美はスカートのポケットに手を入れて携帯を取り出した。

 今は消灯までの自由時間だから携帯に出るはず。

 ワンボタンで掛かるはずの相手なのに、指先が震えておぼつかない。

 脇からすっと金子先輩の手が割り込んで来て、鷹美の指に重ねるようにボタンを押した。

「もし…… もし…… あ、 ……うん…… 終わった…… うん…… 来て…… そう…… うん……」

 パタリと携帯を閉じてポケットに戻した。

「お疲れさまッしたぁーーッ!!」

「したぁーーッ!」

 アトリエを出る時に背後から男子の声がしたが、鷹美は振り向く余裕も体力も無かった。

231 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/14(水) 00:57:53 ID:TcvRHHDH0

 建物を出て、点在する夜間照明を頼りに夜の校庭を寮に向かうと、すぐに向うから寛貴がやってきた。

「大丈夫か?」

「あはは、……うん」

「じゃ、あとはよろしくおねがいしますね。妃埼さんにはまたお世話になるかも」

「先輩、お疲れさまでした」

「おやすみー」

 

「ふーろー ふーろー ふろふろふろふろふろ!」

「うっせぇな。 ……わ、臭っせ!」

「ぎゃーー! 言わないでよ!」

「風呂に付き合ってやりたいけど、あの歓迎会の夜と違って普通にみんな入ってるからなぁ、とりあえず鍵だけ渡しとく」

「うん、自分でなんとかするよ。着替えだけ取りに行くの手伝って」

「いいぜ」

 

 鷹美は寛貴の肩を借りて、身体を軋ませながら自分の部屋まで行き、着替えを取って出てきた。

 自力で動いて少し回復したのか、鷹美は動きがかなり自然になり、顔に赤みがさしてきた。

「なんだその袋」

「ごめん、もう外しちゃった。金属ぱんつ」

「死にそうに恥ずかしいけど、寛貴洗ってよ。どう考えても今の風呂場で洗う方が恥ずかしいから」

「あー、わかったわかった」

「じゃ、お風呂は自分で行くから。それ、鼻つまんで目ぇ瞑って洗うんだよ?」

「んなんで洗えるかよ。まぁ、引き受けた」

 鷹美はヨロヨロと風呂場へ向かい、寛貴は深いシンクの付いた流し台へと向かった。

239 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/15(木) 10:24:30 ID:+uMM7yDw0

 翌日から鷹美は授業に復帰した。

 貞操帯もなく、全身自由だったが、尿道とアナルの栓構造はそのままだった。

 ウレタンの時よりもはるかに短い時間だったにもかかわらず、全身の管理なしの拘束は、ウレタンの時よりも体調の回復に時間がかかりそうな様子だった。

 

「おはよー! 妃埼さん大変だったね。見たよ~」

「おはよー千歳さん。 えー?見たの? やぁだ、恥ずかしいよ」

「んなことないよ、すごく綺麗だったよ。あ、これ、レザーなんとか班の先輩から、渡してくれって」

 千歳 推子(ちとせ すいこ)はちょっと潤んだ目をしながらそれを取りだした。

「ひっ!」

 千歳の取り出した物は直方体の小型の筆箱だったが、それは革製で、同じく革のストラップでギチギチに締め上げられていた。

「あたしの性癖って、ノーマルに毛が生えたようなソフトSMなんだけど、妃埼さん見てると凄く感じちゃう…… あたしちゃんと彼氏いるのに」

「ちょっと、やめてよ朝っぱらから…… なによこれ」

「あたしは渡してって先輩に頼まれただけ。 ……ねぇ、妃埼さん、今度はこんな風にされちゃうの?」

「ちっ……ちが……、……って、べべべべつにこのくらいの事してる人はココならいっぱいいるでしょ?」

「そりゃ、一晩のプレイではね。でも妃埼さんなら……」

 ゴクリ、と鷹美は生唾を飲んだ。

 当然、鷹美に白羽の矢が立つのは、長期拘束に耐えられることが知れているからだ。

 そして石膏固めのようにそのスキルが実証されるにつれて、リクエストを出しているクラブや団体の期待も高まる。

240 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/15(木) 10:24:50 ID:+uMM7yDw0

 鷹美は千歳から筆箱を受け取って席に着いた。

 大きさは普通の封筒を縦に半分にしたくらいでやや細身、上質になめしたしなやかな革で覆われ、それに幅5mm程の少し粗めの厚手の革で出来た

ストラップが網目状に食い込ませてあった。

 ストラップは筆箱の蝶番に近い方は目が粗く、開閉側に近い方はやや細かく、小さなリングとハトメを組み合わせて、本当のボンデージストラップのミニチュアのように作られていた。

 まるでドール用のボンデージのようだが、本当にテンションを掛けられるように丈夫に造り込まれていた。

 

 鷹美は恐る恐る開閉側にある南京錠を模した2つの留め金を外し、かなりの力で重ね合わされている金具をそれぞれ外すと、その革のストラップは弾かれたように上下に解け、革張りの本体には網目状の痕が残った。

 まだ膨らみの残る部分を鷹美が指で押すと、かなり固めの低反発ウレタンのような感触だった。

 パカッと本体を開くと、中は上質なプラスチックで出来た普通の筆箱で、それに薄いウレタンに革張りしたものを貼って作ったようだった。

「はぁ~~~」

 鷹美はわざと伏目がちのイヤーな顔をして、肩を落としておおげさにため息をついた。

 そして周囲を見渡すと、何人かのクラスメイトが奇異な目で自分を見ていた。

 いきなり振り向いた鷹美と目の合った数人は、嫌味な視線ではなく、興味津々な視線のまま驚いていた。

 

 鷹美は自分の使いなれた筆箱を取り出すと、必要最低限の物だけその革製の筆箱に移して蓋を閉め、ストラップを戻した。

「うーーっ!!」

 留め金を戻そうとしたら、真剣にストラップを食い込ませないと重ならない。

 ようやく2か所とも留め、鍵のない、ただパチンと嵌めるだけのミニチュアの南京錠を2か所に掛けた。

 鷹美は汗の浮いた手でその筆箱を掴んだ時、じっとり馴染む革の感覚に、またしても自分が誘(いざな)われる暗澹とした閉塞空間を見せつけられている気がして、胸の奥がキュッと締め付けられた。

241 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/15(木) 10:25:14 ID:+uMM7yDw0

「なにボーッとしてんだよ」

「あ、寛貴ぃ、これ見てよ」

「お、スゲ!」

「スゲじゃないわよ。こんなものもらっちゃってどうしよう」

「早速使ってるじゃん」

「ムキィ! そういうことでなく! ……あたしまたこんなにされるのかなぁ」

「まあそれで召喚されてるから文句言えないような」

「『召喚』言うな。だってまた授業休むのやだよ。ただでさえ付いてくの必死なのに」

「今度はそのまま受けれるんじゃねーの? 余談だけどさ、俺むか~しにさ、ネットで見た画像で忘れられないのあんだよ。ボンデージボディースーツに全頭マスク、編み上げのハイヒールブーツのモデルの子にセーラー服の上だけ着せて学生鞄持たせて街中で撮影したやつ。あれは興奮したなぁ」

「へんたい。……てか、あたしそれ出典まで知ってるわ。うー、あー、なんだか見えてきちゃった、マジ? あれのもっとギチギチ版? うー」

「ちょっと? もしもし、鷹美さん?」

「うー……」

 鷹美は突然興奮に襲われたらしく、耳を真っ赤にして寡黙になってしまった。

245 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/16(金) 12:58:29 ID:cwUFjgL/0

 翌日、鷹美に先輩が面会に来た。

「こ、こんちは。い、一コ上の、つ、土山(つちやま)と言います。き、気に入って、もらえた?」

「はぁ?」

「ふ、筆箱……」

「あ! ああ! はぁ、まぁ……」

 鷹美がぞんざいに答えると、土山という男子の先輩は、あからさまにガッカリした。

「あ、い、いえ! 凄いですね! あれ! あのもっちりの革の肌にミチミチ食い込むストラップの様子が……」

「そう! そう! ミチミチでギチギチがいいよね! で、今日はこれ……」

 同じような造りの学生鞄を直接鷹美に手渡した。

「ひいいっ!!」

「だ、だ、だめ、かな?」

「そんな、とんでもない!」

 その鞄は普通に鷹美達が使っている布やビニールのバッグではなく、古風な革製の学生鞄に、今度は網目状ではなく、縦横に走る幅広ストラップを付加したものだった。

 これは本当にギチギチにすると機能に影響するためか、ストラップは装飾的だった。

「あ、これは昔風でカッコイイですね」

「つ、使って、くれる?」

「は、はい……」

「あ、ありがとう、ま、またね」

「はぁ……」

 土山は鷹美の教室から出て行った。

250 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/17(土) 00:44:02 ID:geF5EcMC0

 翌日、鷹美が教室に行くと椅子に革カバーが掛けられ、ギチギチに締め上げられていた。

「ひいいいいっ! もういやあ!」

「うっわ、鷹美ちゃんスゴクなーい?」

 クラスメイトの淵東 苓見(えんどう れみ)が笑いながら言った。

 もともと椅子に結んであった鷹美の自前の座布団は、きちんとデパートの紙袋に入れられて椅子の脇に置かれていた。

「土山先輩はストーカーみたいなつもりではないようね」

「最初の筆箱といい、技自慢じゃないのォ?」

「そうかもね……」

「鷹美ちゃん本人がぁギッチギチにされるまでぇ、毎日こんな感じじゃなーい?」

「まあ、毎日だとネタ尽きちゃうだろうから、さすがに毎日ってことはないだろうけど、やっぱり煽りと技自慢のようね」

「ちょこっとォ座らしてよ」

「いいけど」

 座面は最初の筆箱のように網目状に規則的な模様となっていた。

 筆箱と違うのは、網目の偏りが無く均等な斜め模様になっている点だ。

 淵東(えんどう)はニコニコ笑いながらドスンと鷹美の椅子に腰掛けた。

「はう! なにこれぇ!」

「ストラップがお尻にゴツゴツ当たらない?」

「まあ、そうだけど…… でも…… なんていうかぁ…… パツパツに高圧のものを上から押さえつけるのって、支配してる気分~!」

「えー?そうなの?」

「ねぇねぇ、鷹美ちゃんがこうなったらさぁ、ちょっとだけ座らせて?」

「……まぁ、いいけど……」

「やったぁ!」

 鷹美は言葉のやり取りが終わってから反芻し、自分が何を承諾したのかに気付いた。

「やっぱだめぇ!」

256 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/18(日) 23:34:03 ID:TCJQER3U0

 それから何日かは、鷹美にとって極めて普通といえる日常が続いた。

 校長に嵌めさせられた首輪は、石膏像のために一時的に免除されていたが、それもまだ戻されてはいなかった。

 また貞操帯も戻されなかったが、寛貴は鍵を再び校長に預けたようだった。

 

 校内で公然と行為に及ぶ場所が無いために実質ベッドでの性交は禁止のような不文律があるが、口でしたり触ったりを規制する校則は無いので、鷹美と寛貴は直接性交しないまでも極端に欲求不満が溜まる状態ではなかった。

 だが鷹美は鞄に教科書を詰めるにつけ、教室で椅子に座るにつけ、筆箱から鉛筆を取り出すにつけ、しなやかな革と頑丈な荒々しい革とのコントラストが醸し出すミチミチした圧力に心奪われるのだった。

「やっぱり気になるか」

「ばっ! ばかにしないで! …… うそ。 ……気になるよ……」

「好きだなぁ」

「ちょ、おま、寛貴がこんなんにしたんでしょ?」

「まあそうだけどさ。お前のそのうっとりした眼が好きだな」

 鷹美は急にカーッと耳まで真っ赤になった。

「お、おま、さらっと『好き』とか言うな!」

 テレ隠しとも怒りともわからないことを大声で乱暴に言うと、鷹美は急に押し黙り、寛貴の視線など気にせずに筆箱を指先で撫でた。

 

 数日後。

「き、妃埼さん、きょ、今日の放課後、び、美術のアトリエへ、い、いいかな」

 土山が鷹美の教室まで来た。

「あの石膏と同じとこですか?」

「そ、そう」

「はい、わかりました」

 鷹美はバクバク言う心音を呑みこんで、寛貴の方を見た。

 寛貴はただ微笑んで、グーを握って親指を立てて見せた。

257 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/18(日) 23:34:43 ID:TCJQER3U0

 放課後あのアトリエに行くと土山の他に金子もいた。

「またお会いしたわね。土山君が女子でないと手伝えない部分もあるっていうから。あ、誤解しないでね、土山君これでもかわいい彼女いるんだから」

「こ、これでもは、ひどいな」

「あはは、さっそくやりましょう」

「はい」

 ガランとしたアトリエの床には青いビニールシートが敷いてあり、その上に黒い塊が沢山載っていた。

 鷹美はゴクリと唾を呑んだ。

 

 あのウレタンの前、最初の拘束も革だった。

 寛貴の我儘で勝手に拉致され調教され、一方的に酷いことされる理不尽な責めを呪い、勝手に性感を開発されてもうどうでも良くなり調教に身を任せて堕ちた。

 最初は寛貴を恨んだけれど、その後偽りなくずっと愛してくれているので結果オーライなのだけど、開花したのか染み込まされたのか、異常な性癖がすっかり身についてしまった。

 拘束・圧力・ギチギチという言葉に体の奥がジュンと反応してしまう。

 あのウレタンで完全具現化された、ギチギチに縛られ、コンパクトにまとめられ、ガチガチに固められて、人間から矮小な存在へと貶められるのがたまらなく嬉しくなってしまった。

 

 目の前にまた革の塊がある。

 たっぷり予告された。

 お前はこうなるんだぞって。

261 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/21(水) 01:29:52 ID:nWdRxRJf0

「ほ、ほら、これ」

 土山が一番大きな塊を持ち上げると、それは沢山の紐がからまった革製の全身スーツだった。

 上は首までで、手は5本指の手袋状、足はハイヒールブーツまで一体になったものだ。

 各部には大きな穴が明いていて、それぞれハトメ穴でかがられ、部位によって太い細いを使い分けた紐が通してあった。

 なので見た目にはただの何も無い穴ではなく、交差する紐で蓋をされたように見える穴であった。

「き、基本的には、あ、圧力を表現したいんで、な、内臓式の、え、えっちなしかけはないです」

「アハ、その方がいいですね」

「すごいわぁ……コレ。妃埼さん、さっそく着て見て」

「はい……」

 

 正直なところ鷹美には、現時点で具体的にどこがどなって、何がどうなるのかわからなかった。

 一見して奇異に感じるのは、しなやかそうに見えるが非常に厚い革だということだ。

 野球のグローブより厚いのではないかと思われる革で出来ているようで、普通の革の全身スーツならば革手袋の巨大版といった趣なのだが、これはまるでストラップや首輪手枷足枷にしか使わないような硬い革そのもので全身を包むようになっている。

 

 土山の前だというのに、あまり羞恥も感じずスルスルと服を脱ぎ、ショーツに手を掛けると、意外なほど濡れていたので驚いて戻した。

「あ」

 鷹美はさすがに赤くなった。

 どうしようもないので下着を手早く丸め、全裸で胸と股を隠して立った。

「ま、まずは足から」

「どうせ臭くなっちゃうけど、一応拭くわね」

「うー、やだなぁ。すみません」

 金子は鷹美の足を除菌ティッシュで拭き上げながら、ゴテゴテした革の塊の中に立つ2つのブーツ部分へ片足ずつ差し入れた。

「はうぅ! やっぱ高いです~。なんでこんなにヒール高くしちゃうんですか?」

「や、やっぱ、かかかカッコイイし、た、頼りない感じが、も、萌えるのかも」

「うー。」

262 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/21(水) 01:30:26 ID:nWdRxRJf0

 その革の全身スーツは、首から腰までは背中が中央でばっくり開き、そこにはまだ紐は通されていなかった。

 そして腰と尻は切れ目のない予め成型されされた構造で、足は股下からくるぶしまで内股を一直線に開く構造になっていた。

 ブーツ部分は、切れ込み部分にすでに紐が通されていたいたため、膝くらいの高さで裏返しになってはいたが、革自体の硬さで自立していた。

 

 金子は、不安定に立つ鷹美の周囲の革の塊をごそごそと重そうに引き上げ、裏返しを丹念に戻しながら腰の部分まで鷹美に穿かせた。

 鷹美はあっという間に腰まで部厚い革に覆われたが、内股の合わせ目がまだ開いたままなので、無数に交差する紐の隙間から鷹美の内腿の肌色が覗いていた。

「さ、さあ、こっからが、た、大変なんだ」

 スーツの股間は鍵付きのジッパーになっていて、ラビアを傷つけずに開閉するという以外は特に変わった仕掛けは無かった。

 尿道とアナルの排泄孔の蓋もこの下に隠れてしまうので、ジッパーさえ開けてもらえば金属筒経由とはいえいつも通り排泄出来る構造だ。

 

 金子は紐の網目から指をさし入れて、網目の裏打ちとなる革のベロを網目の真裏に引き出し、それをくるぶしから内股までずっと整えた。

 もう鷹美の肉の色は見えなくなり、そのベロがくちゃくちゃに潰れないように紐を締め上げるだけとなった。

 長い長い紐を、まずはふくらはぎ位の位置でシュルシュルと引き出し、くるぶしからふくらはぎまでを締め上げる。

 ただブーツ構造の空間に差し入れただけだった鷹美の足は、その周囲を普通より遥に厚く硬い革に密着させられ、硬い第2の皮膚をもった身体へと造り変えられてゆく。

 

 一旦締め上げてから土山がギュッ、ギュッと鷹美のふくらはぎからつま先までをまんべんなく押す。

 ブーツのデザイン上、つまさきにはやや空間があるが、他の部は完全に鷹美の皮膚に密着している。

「はあっ……!!」

 鷹美はくるぶしの骨のでっぱりを土山に触れられた時、自分の骨から外界までの分厚い距離を実感して艶めかしい声を漏らしてしまった。

 鷹美は、自分がこれから、自分そっくりの形をした革製の檻に高圧で閉じ込められるのだと認識した。

265 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/22(木) 11:25:44 ID:X/AvSiVp0

 一度普通のブーツのように左右ともふくらはぎまで締め上げると、余った紐を順に送って膝から太腿の上までを締めはじめた。

 土山が慣れた手つきでシュルシュルと大量の紐を送り、送り終わった付け根を1目ずつキュッと締め上げると、鷹美にはますます足がしなやかな檻に閉じ込められてゆくのを感じた。

 内股の付け根まで左右とも締め上げると、少し余らせて蝶結びにして、残りの紐は惜しげもなく切断して捨てた。

「いいんですか?」

「こ、これ以締め込むことはあっても、と、解くことはないから。と、解く時は、こ、この展示が、しゅ、終了する時だから」

 冒頭の言葉に、拘束慣れしている鷹美でも、重い不可逆性の決意を感じてゾクゾクと震えた。

「どう? 妃埼さん」

「アハ、足が棒みたいです」

「す、少しずつ、ゆ、ゆっくりなら、う、動けるようになるから。か、緩慢な人に、な、なるのだ」

 土山の『なるのだ』がちょっと芝居がかっていて、鷹美はクスッと笑った。

 

「さ、さわっても、い、いいかな」

「どうぞ。もうあんまり気にしないんです」

「さすがね」

「ちょ、あ、あんまり慣れてるみたく言わないで下さい。こういう作業にかかわる人はお医者様のようにしか思えないんです」

 土山はブーツのつま先から再度順番に指で押したり手のひらで圧迫したりしてテンションを確認してゆく。

「あ……」

 ぴったり貼りついた革の感触が心地よく、そしてそれがどこか余所余所しく遠くに感じる様子が、まるで小さな水槽に沈められて観察されているような不思議な感覚を鷹美に与えた。

 自分の身体から感覚が奪われ、少し離れた所からコツコツとノックされる。

 そしてその余所余所しさがやがて全身に回り、自分は世界から一歩離れた存在となり、そしてそれがずっと続くのだ。

266 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/22(木) 11:26:31 ID:X/AvSiVp0

 またウレタンの時の感覚が蘇る。

 石膏よりこの革の方があのウレタンに近い気もする。

 ただカッチリ固まってじっと時が過ぎるのを待つのではなく、身動きの可不可にかかわらず、生活のリズムがありそうだから。

 土山がところどころ紐を摘み出し、順に送って少し増し締めする。

「はふっ……」

「きもちいい?」

「もう、腰から下は自分のものじゃないみたいです。でも石膏の感覚とも随分違います」

「よし、と。う、うえに、いくよ?」

「はい」

 鷹美は土山の手前ずっと胸を手で隠していたが、離して前に突き出した。

「こっち持てばいいのね?」

 金子と土山で上半身の革パーツを持ち上げ、片手づつ鷹美の手を通す。

 太いの細いの大量の紐が垂れ下がる中、鷹美の肌の色が末端へと進んで行く。

 革手袋の指一本一本にも手の甲側にそれぞれ紐がついていた。

「すごい、こんなの初めて見ました」

「ちょ、ちょっとした、ギ、ギミックなんだけど、そ、それなりに、き、きくよ?」

268 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/22(木) 11:27:36 ID:X/AvSiVp0

 胸はただ鷹美のサイズにきちんと合ったカップになっているだけで、特に仕掛けは無かった。

 そのまま前から割烹着を羽織るように首まで着て、背中の合わせ目を土山が短い紐で仮止めした。

「重い……」

「それはそうよね。石膏は固まれば自力で支えるけど、これは全部自分に来るからね」

「す、すぐ、な、なれるよ」

「はい」

 土山は袖が鷹美の肩までしっかり入っているか確認すると、指先から締め始めた。

 締め上げると言っても、窓が明いているのは指先から甲までの部分で、甲の部分は継ぎ目が無かった。

 石膏拘束でも指を分けて拘束されたが、圧力はこれに及ばない。

 あまり圧迫されると鬱血が心配だったが、土山のテンションは絶妙だった。

「し、しばらくは、し、しびれるよ。でもそのうち、な、なじむ」

「はぁ」

 手を前に差し出し、指を丁寧に編み上げる土山の真剣な姿を見ていると、土山の革への想い入れが伝わって来る気がした。

 それぞれ締めて、やはり末端は蝶結びにして、余剰をカット。

 全部出来あがると鷹美の手はそれこそ野球のグローブのように伸びたまま固まった。

 多少閉じたり開いたりすることはできるが、今は曲げることができない。

271 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/23(金) 00:03:25 ID:JYm/Nyw50

「あはは、変な感じ」

 次に手首と肘に手を先まで通すための穴が明いているのを締め上げられる。

「うう、腕も棒みたくなりました~」

「もう脇へ下していいわよ。あと背中だけみたいだから」

「はい」

 土山が鷹美の背中に回り、尻の上、腰の少し下まで切れ込んでいる背中の開口部に最初の紐を通した。

 そして脇に埋もれていた合わせ目のベロを引き出しながら、ハトメ穴に次々と紐を通し、編み上げて行く。

「い、イメージして。い、今、て、手足が無くなって、だだだ、だるまみたい、でしょ?」

 鷹美はハッと目を剥き、四肢が無くなり、自分の身体本体だけが宙に浮いているような感覚に気付いた。

「の、残った体も、い、今から、消滅、す、するから。く、くびだけに、な、なるから」

 ドクン、と鷹美の心臓が歪に収縮した。

 

 背中は最初から紐を伸ばして通してあったわけではないので、通すと同時に締めながら編んでゆく。

「はうぅっ!!」

 キリキリと紐が引かれるたび鷹美が肺を潰されたような声を出し、次第に頬が赤く染まる。

 下から締め上げられる毎に、本当に身体が消滅して行く気がした。

 ずっと革を着せられることに気を取られて、性的な感情など二の次だったはずなのに、もう股間は恥ずかしい液で溢れていた。

272 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/23(金) 00:03:56 ID:JYm/Nyw50

「やっと私たちが見たい顔になってきたわね」

「はフッ…… ん…… ぃゃ…… みないで…… ください……」

 その間にも土山が背中を締め上げ、もう本当に胸郭すらカチカチに拘束されそうだった。

「はうっ! ふひッ! くるしぃ……」

「きもちいいのね?」

 もう鷹美は抗わず、耳まで真っ赤にした潤んだ顔でコクリと頷いた。

 

 ついに首の後ろまで完全に編み上げられ、余剰の紐が切断された。

「はぁっ……」

「どう? 土山くんの言うところの、『首だけ』になった気分は」

「……」

 鷹美は真っ赤な顔のまま黙っている。

「ちゃんと言って」

「き……きもちいい……」

 鷹美はつま先から首まで完全に分厚い黒革に覆われ、締め上げられていた。

 

 鷹美がぼーっと拘束に酔っている間にも土山はせっせと指先から手首、肘、背中の紐を増し締めしていた。

 僅かに残っていた切れ目の隙間も、潰れるほどに完全に密着し、鷹美の全身への圧力は頂点に達した。

 紐の無い部分も、他の締め上げ部のテンションが伝わり、きちんと圧力を発生させている。

 

 トロンと上気した顔の載った黒革の人形が、頼りない細いヒールの上で不安定に立っている。

 手も足もまだ曲げられず、指すら曲げられぬまま、全て真っ直ぐに伸ばしたままにされて、圧力に酔っている。

273 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/23(金) 00:04:17 ID:JYm/Nyw50

 その酔った頭部のその鼻に、ツンと異臭が届いた。

 我に返って見回すと、土山が増し締めした紐を、指先の紐に至るまですべて固結びにして接着剤で固めていた。

「ひいっ! い、いやあ!!」

「ええ? 土山くん、それ、固めちゃうの?」

「せ、石膏あやつる人に、い、言われたくない」

「あはは、これは一本とられたわ」

「やめてぇ」

 当分脱ぐことを許されないのだと鷹美は悟った。

「うう…… いやぁ…… グスッ、グス……」

「妃埼さん、泣いている場合じゃないみたいよ? どうやらその頭も、無くなっちゃうみたいよ?」

 

「ひ!!?」

 

 蕩けた鷹美の目に、革の塊を手にした土山が映った。

 それは全頭マスクだった。

 ある程度は予測していたとはいえ、ここまで煽られて締め上げられた上で、自分の存在を消滅させられるような宣言を受けると、すごい恐怖だ。

 

 土山は鷹美に涙も拭かせず、全頭マスクをガボリと被せた。

「(いやああ!)」

 革の奥から籠った鷹美の声が響く。

「うふふ、妃埼さんてホントに場馴れして気丈なのに、最後の最後で暴れてくれるから、関われて楽しいわぁ」

「(ひどーい!)」

「あ、ちょっとまって、土山くん」

 土山が手を止めると、金子は小さな髪留めゴムを出して鷹美の髪の毛をくるくるとまとめ、ゴムで括って後頭部の革の中へ押し込んだ。

「あ、た、たすかる」

 土山は髪の毛の塊を革の上から手で押して均(なら)すと、後頭部の切れ目にベロを被せ、頭頂部からうなじへと紐を締め上げていった。

279 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/26(月) 02:15:32 ID:2JYS6CJH0

 その全頭マスクは、目の穴は無く、目に相当する部分には細かな穴が規則的に明けられていて、外見は不気味なのっぺらぼうのようであったが鷹美の視界は一応確保されていた。

 鼻の穴に相当する部分にはハトメのついた穴があり、呼吸は普通にできた。

 口の部分は左右に金具のついた革で覆われていて、今は塞いであるが開けることもできるようだった。

「ふふふ、とうとう妃埼さんはどこにもいなくなったわね。もうどこから見てもただの革人形にしか見えないわ」

「(いやぁ!)」

 土山は一旦手を離し、全体を見て歪みを直すと、頭頂部からの紐を更に増し締めした。

 最後に首の後ろでまた固結びし、瞬間接着剤を流した。

「(うーーっ!)」

「し、しあげ」

 土山の手には、鷹美が校長室で渡された鋼鉄の首輪が握られていた。

 それをボディースーツと全頭マスクの重なった上から首に嵌められ、施錠されてしまった。

「革の厚みがあるから、実際にはあなたが最初にしたものではなくて、少しサイズの緩めな別の首輪なんだけど、意味は全く同じだから」

 

『檻だよ、檻。 まるまる山1つ分の巨大な檻だ。しかも歪んだ社会性を持つ目に見えない檻だ』

 

 あの時の校長の言った言葉が思い出された。

 そして今自分は用意された檻の中の、更に小さな檻の中に完全に収まったのだと実感した。

280 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/04/26(月) 02:15:54 ID:2JYS6CJH0

「土山くん、これで完成?」

「あ、あとこれ。こここれ、頼むよ、金子さん」

 土山が金子に渡したのはストラップ式のボンデージだった。

 股間に相当する部分に、市販の太いバイブが取りつけてあるのを狭い視界で見つけ、鷹美はギョッとなった。

 

 ストラップ全体はデザイン的にもよく見かけるような形だったが、材質は全く違っていた。

 今鷹美が押し込まれている革よりさらに厚くて硬い仕上がりのものが使われ、胸の中央にあるリングから、胸の上下を挟むように脇のリングに集まり、ホルダネックのビキニのブラの紐のような流れで背中に回り、背中の中央のリングに集まるような構造だった。

 

 下半身の構造は、股間を覆う基代のような革があり、そこからハイレグ水着のようなラインで腰の左右のリングに集まり、さらにそこから胸のパーツへと繋がっている。

 基代には穴があり、基底部の短いタイプの市販のラジコンバイブが固定されていた。

「ひ!」

 それが間近に近づき、狭い穴からの視界で捕えたその禍々しい拘束具に鷹美はまた悲鳴を上げた。

 

「妃埼さん興奮してるのね? これで更にトドメを刺してあげる」

 全身をパツパツに硬い革で締め上げられただけでも、鷹美は既に激しい興奮の中にいるのに、まるでこの高圧革拘束が単なるベースとでも言いたげに更なるボンデージストラップを上から絡めようとするなど、精神がどうにかなってしまいそうだった。

 

 股間のジッパーに金子の指がかかると、開かれた時に、身体の籠った火照りと一緒にいやらしい蒸気が漏れそうで鷹美は悲鳴を上げた。

 ジッパーが開けられると、果たしてそこは滴る程の粘液の海だった。

 首から胸と背中まで土山によってすばやく絡められたボンデージは、股間のモノを挿入して締め上げるだけとなった。

「(くぅあああっッ!!)」

 余計なローションなど全く使わずにトロリと異物を呑みこんだ鷹美は、久々の甘きつい異物の通過感に上ずった声を上げた。

 革製の全頭マスクの中にはボーンと熱気が籠り、鷹美の思考を削いで行く。

 ストラップが完全に締め上げられた時点で、鷹美はもう考える力さえ無くし、ただ圧力の快感を享受する革人形になっていた。

297 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/06(木) 10:51:47 ID:iG1O/Cgn0

「じゃ、ぼ、僕たちは、こここれで」

 えっ?

「(んんーーーーッ!!)」

 外側ギチギチの内部トロトロのままここに放置されると知って、濁った思考の中で鷹美は悲鳴を上げた。

 しかし鷹美の悲鳴も虚しく、金子も土山もアトリエを簡単に片づけるとスタスタと扉に向かっていった。

「あ、そうそう、先にある程度手がほぐれてから足を動かした方がいいわよ。倒れた時に手が出ないと危ないわよ」

 ドアの閉まる音がして人の気配が消えた。

 

「(ふー。)」

 ひとまずため息をついてみたものの、鷹美の頭の中はドロドロした快楽で支配されていた。

 原因の第一はもちろん膣に咥え込まされているバイブだった。

 動いていないとはいえ、その無機質の硬さと、表面にイボの植わったゴツゴツした性状が、肉壁の内側を絶妙に刺激していた。

 

『手が先よ』

 金子先輩の言葉を思い出し、指からゆっくり動かしてみる。

 着せられる時には容赦の無い硬い革だと思っていたが、特殊ななめし方なのか、同じ動作を何回か繰り返していると次第に動かせるようになってきた。

 しかしその行為は逆に革の厚みを鷹美に意識させ、鷹美は皆の暮らす日常からその革の厚み分だけ、自分が異次元に押し込められていることを思い知らされた。

298 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/06(木) 10:52:12 ID:iG1O/Cgn0

 完全に握り込むことの出来ない拳。

 何倍も分厚い指の皮膚。

 緩慢な動作速度。

 指同士を突き合わせても何の触感も感じない、不思議な隔離感。

 

 次は腕だ。

 ゆっくり曲げるとギシギシと革特有の音がして、独特の抵抗感を感じる。

 編み上げ部分が軋み、固められた紐が奪われた自由を誇張する。

 やはり数回繰り返していると少し動かせるようになり、さらに続けていると緩慢ながらも実用的な範囲では動くようになった。

 肩・腰・首と同様に折り癖をつけるように同じ動作を繰り返し、やっと緩慢な自由を獲得した。

 

 ようやく足の番になった。

 先を焦っていきなり太ももを持ち上げたら、何も出来ないままどうっと横倒しに倒れた。

 考えてみれば当たり前で、片足を自在に運動させるためにはもう一方の足でバランスが取れなければならない。

 肝心のバランスをとるべき軸足がまだ固まったままなのだから当然倒れるわけだ。

 このことを金子は言っていたのだ。

 

 アトリエに仰臥したまま柔軟運動をするように、太ももを上げ、膝、足首を曲げ、何度も伸ばしては戻して緩慢な自由を得る。

 片足が終わるともう一方の足も同様に曲げ伸ばしをして、ついに全身なんとか動かせるようになった。

299 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/06(木) 10:52:36 ID:iG1O/Cgn0

 ゆっくりと立ち上がる。

 鷹美は何を思ったかすぐに出口に向かわず、アトリエ奥に立っている姿見に向かった。

 ガツガツと不自由な高いヒールに自分の立場を思い知らされる。

 普段からこんな高いヒールのブーツ履いてる人居るけど、やっぱり好きなのかな、と鷹美は思った。

 こんなのに慣らされたら、自分も好んで履いてしまいそうで怖い。

 

「(はふっ、フウッ)」

 まるで泥の中を進むように緩慢な動作で鏡の前に立ち、細かい穴越しの狭い視界で自分の奇怪な姿を目にした鷹美はハッと息を呑んだ。

 予想はしていたが、そのあまりに惨めでおぞましい姿はもちろんのことだったが、股間に差し込まれている淫具の様子が丸わかりなのだ。

 いかに基底部が短めバイブとはいえ、プラスチック製の円筒形のモノがそれらしい位置にあればこの学園の人間ましてや特進課のクラスメイトならなおさら簡単に鷹美のソコの状態を知ってしまうだろう。

「(い、いやあ!!)」

 このまま頑張って寮に戻ったとして、いったいどうすればいいのだろう?

 おトイレは?

 このストラップボンデージを外さないとおしっこすら出来ない。

 

 ガツガツ、ギシギシとヒールの音と革の軋む音を撒き散らしながら、真っ黒な全頭マスクの革人形がアトリエを横切る。

 緩慢な動作で扉を開き、後ろ手に閉める動作がまだ不自由なためか、一旦扉に向き直ってから丁寧に閉めて立ち去った。

305 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/06(木) 23:16:52 ID:iG1O/Cgn0

 細かい穴状の狭い視界に、暗い校庭が広がる。

 首を少し動かして穴から見える位置を変え、夜間照明の明かりを頼りに寮まで歩いてゆく鷹美。

 全身をギチギチに締め上げられているので、ただ歩くよりも何倍もの力が必要だ。

 

 そして次第に身体が慣れてくると、鷹美の頭の中心を、膣に差し込まれたバイブのことが占め始めた。

 様子からしてストラップは施錠されていないようなので、うまく外せば今ここで脱げるかもしれない。

 では、暗いとはいえこんな校庭のど真ん中で、ストラップを外してバイブを抜き去って、それをどうするのか。

 バイブだけ外してストラップを戻す?

 ストラップを手に持って、股間のチャックを閉める?

 それとも……

 どれも現実的でなかった。

 今の刺激が、腕に刺さった短剣のように、すぐに抜き去らなければ激痛で耐えられないといったものではない。

 恥ずかしくて惨めなのに、気持ちいいから、不自由な全身で強引に離脱行為に及ぶ必要性とを天秤に掛ければ、現状維持が妥当という結論になってしまう。

 

 自分を辱める巧妙な仕掛けに鷹美は……    ゾクゾクと感じていた。

307 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/06(木) 23:22:23 ID:iG1O/Cgn0

 寮の入り口で寛貴が待っていた。

「お疲れさん。その様子だと思ったよりだいぶ動けるみたいだな。うわ、目立つなそのバイブ」

「(い、いきなり掛ける言葉がそれ? もっと優しく……)」

 そこまで籠った声で言って、急に涙が出て言葉が途切れた。

「えーと、先輩から鍵を預かってるんだけど、これってその口の鍵?」

 確信は無かったがストラップには鍵は無いはずなのでとりあえず頷く。

 寛貴が鷹美の全頭マスクの口を覆う革パーツの金具に鍵を差し込むと上口唇から頤までやや広めの部分を覆うカバーが外れた。

「結構広めだね。食事できるように、かな?」

「そ、そんなに、開く、かな。えい、えい」

「そんだけ開けば食べられるだろ」

「うん」

「改めてお疲れ」

 寛貴は昆虫の複眼のような顔の鷹美をバフッと抱いた。

「うん……」

「大昔の仮面ナントカにそんなの居た気がする。口だけ人間なやつ居たぜ」

「ちょ、バカぁ! ひどい!」

「あはは、寮監が雑巾貸してくれたから、これで靴底拭いて入れよ」

「うん」

「手伝おうか?」

「いい。自分で出来ないとだめだから。でもちょっと支えててね」

 鷹美は緩慢な動作で雑巾を受け取り、本当に改造されてしまったように見えるヒールと一体化した自分の足をまじまじと見ながら靴底を拭いた。

308 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/06(木) 23:23:01 ID:iG1O/Cgn0

「メシは?」

「いらない」

「部屋におにぎりを置いておいたから、気が向いたら食えよ」

「ありがとう」

「あと、生活に必要な事項を伝言された。1つは、そのストラップ、下は外せれば自分でも他人でも勝手に開けていいんだと。でも上まで脱いだらだめだって」

「よかったぁ、おしっこどうしようかと思ってた」

「でもバイブはそのたびに戻すんだぜ?」

「い、いやぁ…… 我慢して回数減らそう……」

「口も外したままでいいんだって」

「ふーん。まあ、助かるけど」

「あと、服もいいそうだぜ。ワンサイズ大きめの制服ももらった。お古みたいだけど」

「うそ! マジ? 着ていいの? 良かったぁ、あたしこのバイブ見せて歩くんだと思った」

「ああ、まるわかりだもんな。でも皆知ってるぜ?」

「ひいっ! ど、どういうこと?」

「ああ、鷹美が芸術的な実験のためにこれこれこういう姿でしばらく暮らしますからよろしくって、プリントまで配られた。好きなやつは何か取りつけたくてウズウズしてるみたいだぜ?」

「ちょ! 『何か』って何よ!」

「滝沢はガスマスク着けてぇ!って言ってたな」

「ひいい! あたし弄(いぢ)られ役?」

「吉村は椅子にして座りてぇ!って言ってたな」

「同級生に弄られるのヤダよぅ……」

「仕方ないだろ? 俺たちそういう役目で入ったんだから」

「あう……」

311 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/07(金) 06:31:37 ID:8HKHtMsB0

「俺と居るうちにトイレ行っておけよ」

「うん」

 二人でトイレの前まで来た。

 普通に夕食後の時間帯なので、多くの寮生は部屋に居るが廊下も人気が無いわけではない。

 ぽつりぽつりと通る人はみんな鷹美の姿をジロジロ見て、中には憧れの眼差しで見るものもいる。

 トイレ前で周囲に人の居ない瞬間を狙って両サイドとお尻の留め金を外してバイブを抜く。

「はあっ!!」

「バカ、声がでかい」

「だってぇ」

 ブラブラと前に垂れたバイブを握ったまま鷹美は個室に入った。

 

 おしっこは普通に出来た。

 アナル栓の蓋も感覚の無い指先でなんとか外し、普通どおりに排泄できた。

 お尻洗浄ボタンを押して栓の周囲を洗浄し、良く拭いてから栓を戻し、片手で握ったままだったバイブをゆっくりと股間に沈めた。

「(んくうぅぅッ!)」

 こんな惨めな黒革人形が、こんなオモチャで突き上げられて喜んでるなんて……と鷹美は自嘲した。

 

「出来た?」

「うん。考えてみれば、トイレに入る前に抜かないでも、サイドと後ろの金具だけ外してもらえばいいから、部屋ではあびる先輩にもお願いできそう」

「そうだな」

「金具留めて?」

「うん」

 バイブを釣り上げている金具を3か所留めてもらい、口の革パーツを手渡され、鷹美は部屋に向かった。

312 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/07(金) 06:32:05 ID:8HKHtMsB0

「あら、あら、妃埼さん、素敵ねぇ」

「不気味じゃないですか」

 全頭マスクの黒革人形が口だけ露出させた状態で喋る。

「不気味よぅ」

「ひい! ひどい!」

「あらあら、褒め言葉よぅ」

「ど、どうも」

「手伝うことがあったら言って」

「はい…… 佐納先輩お気遣いありがとうごさいます。でも今日はもう寝ます」

 

 鷹美は明日の授業の支度をし、ベッドに置いてあったワンサイズ上の制服の古着をハンガーに掛け直して、緩慢な動作でベッドに横になった。

 しかしブーツのまま布団に潜り込むわけにもいかず、大判のタオルを出して、上掛けの上に寝てタオルを掛けた。

 寝冷えなど無縁と思われたが、そのまま何も上に掛けずに眠るのは、物体か犬のようでなんだか惨めに思えたのだ。

 

 まどろみ始めたら何やらチャリチャリと音がする。

「え?」

 ギョッとして細かい穴の視界から良く見ると、佐納あびるが鷹美の首輪に鎖を繋ぎ、その端をたっぷり腕に絡ませて添い寝していた。

313 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/07(金) 06:37:18 ID:8HKHtMsB0

 部屋の電気が点けっぱなしだった。

 鷹美はあびるの腕から鎖を解くと、ジャラリと鎖を鳴らして立ち上がった。

(うわ、重ッ!)

 ベッドで眠ることへの味付けなら実用性を無視していいとあびるが思ったのか、工事現場で使われるような極太のチェーンだった。

 

 鎖を手で抱えて移動し、電気を消す。

 たったこれだけの動作がなんて億劫なんだろう。

 鷹美は手で鎖の首輪側の付け根を探ると、南京錠らしき大きな塊を感じた。

 触感は無いが握ると大きさがわかる。

 

(やれやれ)

 鷹美は自分が黒革人形のくせにあびるのフェチぶりにため息をつき、またベッドに入るとあびるの腕に鎖をたっぷり絡ませた。

(ほんとうは自分がされたいんだろうな、あびる先輩。先輩の場合はストラップでなくて黒革の上から鎖かな)

 股間のバイブをむにゅむにゅと膣の筋肉で締めている自分に気付く。

 気持ちいいけどずっと生殺しだ。

 

 ぼんやり考えているうちに眠った。

315 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/08(土) 00:07:52 ID:cHDNLon70

 翌日、予想はしていたが教室はすごい騒ぎだった。

「ねえっ、ねえっ、妃埼さん! 1時限目は手錠して!手錠! 鎖長いやつだから、ノートも取れるよ?」

 手錠マニアの小杉さんが潤んだ目でホンモノの手錠を持ってきた。

 鷹美は唇の表情を読まれるのと、万一声が漏れるのが嫌で口の革パーツを戻していた。

 黒革の頭でコクリと頷く。

「あ、ありがとう!」

 小杉は教室の入り口でカチカチと鷹美に手錠を嵌め、ロックピンを押し込んでダブルロックを掛けた。

 

 手錠を掛けられた制服姿の異様な黒革人形が自分の席に着く。

 バイブの底がゴツリと椅子に当たる。

 座面には、折り畳んだ防災頭巾を内蔵した学校指定の座布団が敷かれてはいるが、それでもかなり突き上げが来る。

 突き上げを確認するようにクチュクチュとバイブを体内に押し込む動作をして、鷹美はハッと気付き、マスクの中で真っ赤になった。

 このままだと授業中にバイブでオ○ニーしてしまう。

 だがもう鷹美のぐちゃぐちゃに歪んだ今の状況に歯止めを掛けるものは何も無かった。

 理性が途絶えた瞬間にこの教室の中で、授業中にでも、あられもない嬌声を発して良がり狂いそうだった。

 

 教師は鷹美の立場に理解のある人ばかりだが、それはどうやら校長や教頭からの根回しが効いている様子だった。

 制服を着た異様な黒革人形が手錠を掛けられた手で、おぼつかない握力で鉛筆を握り、もたもたとノートを取る。

 鷹美は異様な状況下で、今までの経験の全スキルを使い努めて平静を装っていた。

 しかし一度着席すると立ち上がるのが億劫なほどの強圧で全身を締め上げられ、ただそれだけで全頭マスクの中で茹ダコのように上気していた。

 荒い吐息を隠せるので、口を塞ぐパーツを装着しておいてよかったと鷹美は思った。

316 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/08(土) 00:08:23 ID:cHDNLon70

 歴史の授業の単調な板書をしてると、昨夜からの慌ただしい拘束儀式の記憶が整理され、自分の今居る状況がはっきり認識されてきた。

 

 今、教室で、普通に生活している自分が居る。

 お情けで授業を受けさせてもらっているが、クラスメイトには弄られ役として認識されてしまっている。

 みんなの望むことは?

 私をいじり回して一体何がしたいの?

 みんなの気持ちを満たす、私にしか出来ないこと。

 ……長期拘束とその中での各人こだわりの道具との関わり。

 ……もし私だったらそんな子が居たらどうしたい?

 もし私に手錠した小杉さんが、こんな拘束に詰め込まれて手錠されてたら?

 小杉さんきっとイキたいはず。

 好きな拘束の中でめちゃくちゃになる小杉さんを見てみたい。

 でも、それが小杉さんには出来ない拘束なら?

 代わりの誰かに試してもらって、その子が滅茶苦茶になるのを見てみたい。

 

 ……それが……私……

317 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/08(土) 00:08:43 ID:cHDNLon70

 ―― ガガガガ ――

 

 突然すごい音がして鷹美の身体が跳ねた。

 チャリーンと手錠の鎖が鳴る。

 鷹美は股間に一瞬痛みを感じたが、直後にそれは全身を貫く快感に変わった。

「(んんーーーーーッ!!!)」

 喉を突いて出る絶叫を、抑えるなんて無理だった。

 鷹美が手を無意識に引いたため、シャーペンはどっかに飛んでゆき、全頭マスクの目の網目の奥で鷹美の目玉がグリンと裏返る。

 

 ――ブブブブブ――

 

 鷹美の反応に驚いたように、急にバイブの振動が緩くなり、鷹美は浮かせた腰を元に戻した。

 だが振動は止まらない。

 一度コツを掴んだかのように、微妙に調節され始めた。

 

 鷹美の細かい穴から見える視界には、黙々と板書を続ける先生と、こちらを振り向いている小杉さんが映った。

 そうか……コレのリモコンって……

 鷹美は自分の体内に差し込まれている凶悪な玩具のコントロールが、クラスメイトたちに握られていることを知った。

321 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/10(月) 07:17:38 ID:T/114OL+0

 もう鷹美は授業どころではなかった。

 激しくうねるバイブにこねまわされる膣は、それまでの生殺しで充分に解れていたために、簡単に臨界を超えそうだった。

「大丈夫か妃埼? でもまだ小杉だから素直で楽かもな」

 一つ後ろの席の東条がシャープペンを拾って鷹美の宙をもがく手に持たせた。

「(ハァッ…… ハァッ…… あり、ありが、東条く…… ンあッ!!)」

 

 鷹美は無謀にも授業に集中しようとしたが、とてもノートに向かうことなどできなかった。全身締め上げられているだけでも被虐の快感に焙られ続けているのに、加えて手錠で自分が弄られ役だと宣言され、クラスメイトのしかも女子の手の中にあるバイブのリモコンで快感を操られて、自分ではままならない膣内の刺激に、教室の真ん中で絶頂を晒す処刑台への階段を登らされている。

 イク姿は転入の歓迎会の時に寮生全員に見られてはいるが、あれはお祭りのような中での別世界。

 こんな授業中では生々しさが違い過ぎる。

(やだ、イッちゃう! 皆の中で、授業中にイク!)

 鷹美は完全に居たたまれなくなり、トイレへ逃げ込むことを思いついた。

 

「(せ、先生! す、すみません、トイレ……)」

 ガタン、と席を立ち、小走りに教室を出た……つもりだったのは鷹美だけで、クラスメイトには、のろりと立ち上がり、そのままつんのめるように教室の床に倒れ込んだ鷹美の姿が映った。

 ―― ジャリーン! ――

 手錠の鎖が激しく床にたたきつけられた。

「(んあああああーーーーーッッ!!)」

 倒れた衝撃と、『動けるのに拘束されている』自分の身体をがんじがらめに支配している処刑の仕掛けを実感させられ、鷹美はその被虐快感に全身を貫かれた。

 制服のスカートが捲れた黒革が光る尻や、見られたくなかったバイブを晒し、四つん這いの姿で鷹美は激しくイッた。

 

 ちょうど1限目が終わり、鷹美をその姿に残したまま礼をして休み時間になった。

324 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/11(火) 01:13:43 ID:ORhwAnCl0

「鷹美ちゃん、逃げたらだめだよう」

「妃埼、ペナルティーじゃね?」

 数人の男子と女子に助け起こされ、立ったまま囲まれた鷹美。

「(ペラルティーとか、らんでそんなこと勝手に決めんのよぅ!!)」

「だってみんなで弄っていいって言われたんだぜ? 妃埼も好きなんだろ?こういうの。 なあ、曾根芝ぁ?」

 男子の一人が席で本を読んでいる寛貴に問いかけた。

「あー、まあな。やっと自分が着せられた革の機能に気づいたみたいだから、みんなで押さえつけて、ちょっといじるとまたイクぜきっと」

「(ちょ!バカ!寛貴ぃ! うらりりものォ!!)」

「よう、滝沢、ガスマスク持ってっか? こいつうるさいからガスマスクしようぜ」

「(やらってば、いやぁ!)」

「そんなにのろい手で払ったって当たるかよ」

 

 鷹美はその場のノリで熱くなった数人の男子に押さえつけられた。

 簡単に身動きできなくさせられてしまった鷹美は、寛貴が言った通り、膣を貫かれながらギチギチに締め上げられて自由のきかない自分に感じてしまい、また昇りはじめた。

「(あうっ! はひっ! ひい! はらしてぇ! イクとこみらいでぇ!)」

「ほ、ほんとにイクの?鷹美ちゃん」

 耳まで真っ赤になった女子が、まるで自分に置き換えたように上気し、潤んだ目で、誰に問うでもなく質問する。

325 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/11(火) 01:14:42 ID:ORhwAnCl0

「(う! んんううううう! んんんんうううううううううううッッ!!!)」

 突然歯噛みしたような唸り声に切り替わり、鷹美がガクーーンとのけぞった。

 本人はあからさまなアクメ声を聞かれまいとがんばったつもりだが、パタタッとスカートの下に潮の滴(したた)れを噴いて、御せない身体を何度も跳ねさせれば、誰の目にもイッたのは明らかだ。

「すごい…… ただ身動きを封じられただけでイクんだ……」

 

 二度も皆の前でイッて頭の中が蕩けて弾けそうな鷹美に、追い打ちをかけるように滝沢がガスマスクを着けようとする。

「俺、ひとにマスク着けるだけでこんなに興奮したの初めてだ。妃埼さんエロすぎるよ」

 快感の霞がかかったままの鷹美の視界が、丸い二つのガラス窓で覆われる。

 鼻と口が圧迫され、さらに顔の縦一周が圧迫され、息が苦しくなった。

「(シュコーーーッ シュコーーーォォーーッ)」

 またこれか、と鷹美は思ったが、後頭部に回されたベルトが締め込まれると、イッて少し下がっていた快感ゲージが簡単に閾値を超え、絞るような声を出しながらまたイッた。

「(シュシュゥゥーーーーーーッ!!)」

 

「曾根芝ぁ、コイツどうすんよ? グダグダだぜ?」

「自分の席に後ろ手に縛っとけば?」

「お、俺、縄掛けてもいいかな」

 縄好きの男子がすでにロープを握りしめている。

「いんじゃね?」

 その男子は周囲の男子に手伝ってもらい、鷹美の硬い腕を後ろ手に持ってゆくと、鷹美を黒革を包む制服の上から高小手に縛り上げた。

「(シュコオオーーーッ)」

 

 鷹美がガスマスクの奥で何か叫んだが、全く聞き取れなかった。

328 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/12(水) 01:24:19 ID:gR6gfOJ90

 荒縄ででなく綿ロープではあるが、制服姿のまま罪人のように縛り上げられ、ガスマスクまで被せられた姿は特進課の中でも異様さが際立っていた。

 男子数人の手で抱えられ、自席に座らされた鷹美は、革の硬さとストラップのテンションと高小手の縄の張力で辛うじて倒れずにいた。

 椅子の背もたれと一括りになるように腹に縄が何周か巻かれると、やっと安定した姿勢になった。

 椅子の脚に左右の足それぞれが結ばれてしまい、鷹美はもうノートを取るどころか席を立つことも出来ない状態になってしまった。

 二限目の授業からは鷹美に手を出したクラスメイトたちが手分けして鷹美の分のノートを取った。

 

「(シュコーーッ! シュコッ! シュウウゥゥゥ……)」

 リモコンは今、縄掛けした男子が持っている。

「(インウウゥッッ!!)」

 激しく身を捻り、椅子から腰だけ浮かせてガクガク痙攣する鷹美。

 上半身を括り付けられているので椅子から立ち上がることはできない。

 腹を突き出すように何度も身体を震わせ、やがてパタッと脱力して元の姿勢に戻った。

329 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/12(水) 01:24:48 ID:gR6gfOJ90

 当の鷹美は完全に天国に居た。

 全ての事の始まりは寛貴の差し金による強引な拉致からだったが、自分の中に眠るマゾを完全に引き出されて、とうとう皆に押さえられただけでもイク身体にされてしまった。

 止む事の無い革の圧力は自分の肉体が作り変えられてしまったことを思わせ、何をされてもまともに抵抗できない分厚い革の仕掛けは、日常の中で完全に自由を失ったことを思い知らせていた。

 そして何より、単に自分だけが自由を失う快感ということより、自分が拘束されることで心から喜ぶ人たちが居ることが鷹美に奉仕の満足を与えていた。

 まるでウレタンの時に寛貴のモノに奉仕するだけのフェラマシーンにされた時のような嬉しさだった。

 ウレタンの時、自分の存在が消滅するほどの超拘束の中にあっても、自分の口で寛貴が射精すると、それだけでイキそうなほど嬉しかった。

 今、形は違っても自分の存在が誰かを気持ち良くしていることを鷹美はひしひしと感じていた。

 

 寛貴に対する愛情とはまた別腹の愛しさで鷹美の膣はキュンキュンと締まる。

 性器周りが締まると、おもちゃに貫かれている自分を意識し、それがまた被虐の快感となって下腹部に蓄積する。

 鷹美は今、そうやってため込んだ快感燃料に一気に点火されてしまったのだ。

 消火活動など意味を成さないほどの業火に焼かれ続ける鷹美は、それでも一片の理性で今が授業中だと認識していた。

 そしてそれがまた鷹美の性感を高めてしまう。

330 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/12(水) 01:25:34 ID:gR6gfOJ90

 自分の身体が支配され、犯される時にのみ緩む筋肉が、無機質な器具によってこじ開けられている。

 そして隷属を受け入れるほど脱力せねば緩まないアナルの筋肉は、とうの昔に金属筒をねじ込まれ、緩みきったまま固定され、排泄のコントロールを取り上げられてしまっている。

 

 膣を意識する。

 気が遠くなるほどイッてもまだヒダで無機質の表面を味わい、体腔が無残に広げられている被虐をまた味わう。

 従属・隷属・蹂躙・辱めの証。

 それが震え、うねり、枯れ果てた快感を強引に掘り起こす。

 そしてまた昇る。

 こうなるともう止められない。

 またイクとこ見られてしまう。

 噛み殺す。

 無理。

 イク。

 毎度目の裏が真っ白に光って、声を出してるかどうかとか、体の姿勢すらもわからなくなる。

 大丈夫だよ、声、漏れてないよ、身体、跳ねてないよ、きっとみんな、気づいてないよ。

 授業中だし、これだけギチギチに縛られてるし、もう教室の中の置き物みたいなもんだから、あたし。

 遠のく意識の中で、ガスマスクのフィルターの先端に向けて、ありったけの声を流し込んだ。

387 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/25(火) 13:54:13 ID:AEaqtp7S0

 声はガスマスクに届く前に口を覆う分厚い革マスクをピリピリと振動させ、その殆どが吸収されて消えた。

 足りない酸素を吸うために、ありったけの鼻呼吸をすると、小さな金属の輪を通過する空気がひゅうひゅうと鳴る。

 過呼吸が過呼吸を呼び、頭がクラクラして思考が鈍る。

 その中を突き抜けてまた快感が駆け上がる。

 またイク。

 機械的に全身が痙攣する。

 イク周期が短くなっている。

 もう力が入らず、グダグダに溶けてしまいそう。

 まぶたの裏がピカピカと明滅を繰り返し、次第に鷹美は意識を失っていった。

 

 しばらくして鷹美が意識を取り戻すと、網目状の視界の目の前に寛貴が居て、ほか教室には誰も居なかった。

「鷹美、鷹美ってば、聞こえるか?」

「……あ、ひろきぃ…… って、あれ?ガスマスクは?」

「昼休み前に取ったよ」

 ガバッと身を起こそうとして、ロープの拘束にガクンと引き戻された。

「い! いったい、今何時?!」

「もう放課後だよバーカ」

「う、うそお! え? 何が起きたの?」

388 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/25(火) 13:55:07 ID:AEaqtp7S0

「おまえ、呼吸制限で連続でイッたあと、真剣に失神したんだよ。呼吸が浅くなったんで危険だからガスマスク外したら、そのままのカッコでグーグー言って寝ちまって」

「ひいい~ 恥ずかしい~」

 鷹美は教室の椅子にロープで縛られた姿のままだった。

 

「よっぽど疲れてたんだな。そのあと何しても起きなかったぜ」

「何してもって、何したのよっ?」

「バイブいきなりMAXとか。眠っててもイクのな」

「ぎゃーー! なんてことすんのよっ!」

「だって、その革じゃ、叩いて起こそうにもコッチが痛いぜ」

「ひっどーい!」

「まあまあ、今ロープ外すから…… 立てるか?」

「うん…… や! はあんっ!」

 鷹美は刺さったままのバイブがどろんと位置を変えたので、妙な声がでて真っ赤になった。

「バ、バカ、何て声出してんだよ」

「だってぇ……」

389 : 鷹美 ◆iIo5f1RC12 [sage] 2010/05/25(火) 13:55:48 ID:AEaqtp7S0

「ほら、寮に戻るぞ。トイレの準備してあるから」

「うん」

 鷹美はゆっくりと異様な制服姿のまま歩き出した。

 

「はふっ…… はあっ……」

 鷹美のノロノロした歩みに合わせて歩く寛貴が覗き込んだ。

「大丈夫か? きついのか? って、それは当たり前か」

 

「寛貴っ、あたし、やっぱ、もうだめ……」

「急にどうしたんだよ」

「あたし…… 気持ち良くて狂いそうなのぉ…… みんなの役に立ちながら一人動けない姿にされて…… アソコにおもちゃ入れられてるのも、いじめれてる感じがたまんないのぉ」

「そ、そりゃ良かったな」

「ねえっ、ねえっ、もっと皆に見られながら、皆に役立つコトってないかなぁ。イスとか?」

 寛貴はしばらく口篭っていたが、ちょっと困った顔をして口を開いた。

 

「そりゃ、便器だろ」

 

 鷹美はマスクの奥で息を呑んだ。

 

 

―― 終わり ――


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