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【拘束フェチ小説】家具師

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180 : 家具師[sage] 2006/05/24(水) 01:56:53 ID:aSOVGDWh0

都内も道を外れると、意外に暗く蟠るものである。

歓楽街にしてもそう。国道の流れを組むメインストリートを外れれば、それは容易く法律からも外れる事を浅く意味する。

そんな路地裏に一つのビルがある。地上六階地下三階の小さなビルだ。

目に見える所の看板を信じれば、テナントはSMクラブとバー。

あとは精々金融業といった所か。

しかし、人が往来し人の目に付く一階。

ショーウィンドを壁にしたそれは骨董家具屋だった。

 

『インテリアス』

 

母が付けた名前だったなと、私は今更ながらに口にする。

クセの強い肩まで髪を乱暴に梳いて、一面を抜けるガラスに映った自分を見れば、職人堅気の神経質そうな女性が睨んでいる。自分の顔ながら、それは相も変わらず疲れて見えた。

ノンフレームの眼鏡が、一層それを際立たせているとも思っている。

薄汚れた乳白色の作業着を隠すように着込む紺のエプロンも、何かしらの塵とゴミで汚れている。

私は身なりを気にする方ではないが、母からはよく注意された。しかし、職業柄汚れる物はしょうがないのだ。

そんな有様の自分に溜息を吐いて、見上げた窓越しの空は狭い。

周囲をビルで囲まれてる以上、こればかりは避けられない生活環境だ。

夕暮れまでまだ遠いと言うのに、店内には既に影が射している。

それを払拭させんがために点けた白熱電球はシャンデリアのイミテーション。

お世辞にも上品とはいい難いが、シックで洋風気取りの店内には不思議と合っていた。

もっとも、そこに並んでいるのは、自分が使うわけでもない多くの椅子や机。

そして無駄に場所を取る装飾過剰なベッドや箪笥といった物ばかりで、生活感といったものは皆無だ。

ほとんどがリサイクル品。どうせ売った所で二足三文な物ばかりである。

しかし売るともなれば口車と合わせて数倍は吹っかけるつもりでいる。

そんな事を独り思い、自虐的に嘲っていると、ある時、入り口のベルがカランカランと音を立てた。

開いた扉より影が伸びる。お客様だ。

 

 

 

181 : 家具師[sage] 2006/05/24(水) 01:58:55 ID:aSOVGDWh0

「いらっしゃいませ」

 

反射的な声を入り口へ向けたのは、恐らく彼女が入店した後だった。

175はあるだろうか。長身の女性である。

だが、その顔をうかがうよりも先に目を奪われたのは、彼女の奇抜な服装だった。

すらりと伸びた脚を持つ全身を被うのは内装灯を鈍く照り返すラテックスの黒いキャットスーツ。

ハイヒールから一体化したロングブーツと両腕を絞めあげるロンググローブすらも光沢を放つ漆黒のレザー。

二つの胸を強調するかの様にウエストを引き絞るコルセットからは二本のバインダーが股間を左右に跨ぎ通って背中で繋がれている。

ほっそりとした首元にはチョーカーと言うには太く厚い首輪が巻かれ、金のバックルが輝いていた。

そして、その上に座するのは、抜ける様に白い肌を持った美貌と臀部まで伸びた艶やかで美しい髪。

日本人のパーツを持ちながら、外人さながらの配置で完成した頭部は、女の目にも美女と評せる出来だった。

年の頃は二十代前半と言ったところだろうか。少なくとも二十歳を過ぎたばかりの自分よりは年上に思える風体である。

知った顔だ。それどころか、ここ一番のお得意様である。

 

「ご足労、恐れ入ります。巴様」

 

すぐさま頭を下げる私に、ビザールの女性は一瞥し、真っ赤なルージュを引いた唇をいやらしく歪めた。

 

 

 

187 : 家具師[sage] 2006/05/24(水) 07:36:34 ID:MitXCKwY0

 

「アレ、用意出来てる?」

 

細めた瞳は威圧的で開口から要件のみだったが、彼女からその注文を受けたのが二日前だ。準備だけは出来ている。

その旨を伝えると、彼女は首を背後に向けた。それが合図だったのか、外からさらに数人の女性と少女達が狭い店内に入ってくる。

全員が深蒼の長袖ロングスカートのワンピースを着用し、それをエプロンドレスとヘッドドレスで着飾っている。

彼女のメイド達だ。そこは女主人の趣味なのか、やはり全員が一定水準の美貌を兼ね備えている。

喫茶店でも開けば、確実にひと財産にはなるだろう。もっとも彼女の性格上、それだけはあり得ないと付け加えておくが。

つか、まさかとは思うがこの一団。ここまで歩いて来たのだろうか。

余計な心配が私の視線を店の外へと向けさせるが、それは軒先に横付けされたバスの様に巨大なリムジンが杞憂に終わらせた。無論、邪魔ではあるのだが。

そんな事をしている内にメイドの一人が女主人の側で、何らかの命令を受けている。

女主人の言葉にハキハキと返事をし、そのつど頷きご主人様を見つめる姿はまるで犬の印象を受けるが、裏返せば忠誠心なのだろう。

そんな忠犬メイドが一人足早に店外へと消えると、女主人はこちらに向き直り、顎で私に案内を促した。

わたしも、それに応えた。

彼女程の人間が、こんなリサイクルまがいな家具屋に用が無い事くらいわかっている。

ならば、この女主人は知っているのだ。この店の本当の姿を。

家具屋のさらに地下深くに、人の業がある事を。

 

 

 

190 : 家具師[sage] 2006/05/24(水) 20:41:51 ID:myBEy+Fg0

 

四つんばいの人にも見えるイス。

腕を頭上で組んだ女性を背もたれに持つソファー。

女性の物と思われる二つの胸が枕の位置に生えているベッド。

少女の開いた股にポールスタンドを突き立てたデザインのハンガー。

 

他にも女性の前面だけが壁より抜け出た巨大なレリーフや二人の少女と一人の女性の像が密着するような形で並んでいるスチール製の扉部品もある。また、全身彫刻も数体。台座の上で思い思いのポーズで飾られている。

それ等は表面素材には革やラテックス、時には硬質樹脂や石膏といった物が多く使われているが、その全てが徹底して人体をモチーフにしていた。言わずもがな、全て私が手掛けた商品である。

そして、これこそが骨董家具屋『インテリアス』のもう一つ顔なのだ。

 

見渡した品物全てが完全予約注文制で、一つとして同じ物が存在しないワンオフ・インテリアを顧客に提供するのがこの店の商売だ。

その様相はアートギャリーと言えなくもないが、個々の判断は私の仕事ではない。

また、安に顧客の注文で商品を製造するならば他でも出来る事だろうが、材料の一部をお客様よりご負担してもらう事を最低条件としている一点にだけには注目して欲しい。

即ち、それこそが単なるインテリアでは無いという所の由縁なのだ。

製作者である私が言うのも何だが、これが只のオブジェなら私は絶対に買いはしない。

だが、これ等の商品が一部のブルジョア階級や権力者連中に熱狂的な愛好家を根強く持ち続けている事を鑑みれば、ただ事では無い事くらいわかるだろう。

もちろん例外もあるが、実際は金銭面に不自由しない者達の特殊な嗜好から得た需要である。

その顧客数も、母が店を開いた時から既に確固したものだったと記憶している。

ならば、漆黒を纏う女主人もそういった連中の一人であるだろう。彼女は母が店を仕切っていた時からの長いお得意様だ。

もっとも、そこに至る理由を訊ねた事はないし、これからも訊ねる気はないのだが。

 

 

 

191 : 家具師[sage] 2006/05/24(水) 20:44:20 ID:myBEy+Fg0

暫くして、エレベーターと部屋を挟んで正対する位置にある地下駐車場側の扉が叩かれた。

店内を楽しそうに闊歩し、陳列する商品を一つ一つ眺めている女主人にうかがうと、扉に向ってメイドが二人並んで歩いて行く所だった。

七つある固定鍵を外して厚い扉を二人で開くと、さっきの忠犬メイドが大きなスポーツバックを重たそうに抱えて入ってきた。

一目見てそれは、私が女主人に“負担させた”物であると気付く。

私はそれを店内の壁と一体化している大型の作業机の上に置く様指示を出す。が、メイドは女主人の許しを乞うてから、遅れてそれに習った。そして一礼すると、また同じ扉から出て行った。

 

残った二人のメイドが扉を閉めて施錠すると、女主人が私に並ぶ。

確認を取ってからスポーツバックに手を伸ばすと、ズシリとした感触。

とても片手では持ち上げられないバッグには、そうだろう、やはりそれが入っていた。

黒いスポーツバックに押し込められていたのは、手足を前に折り畳まれた高校生くらいの少女。

電話の内容を振り返ると、家族が健在で何の落ち度もない一般人と言う事だった。

しかし、これからは違う。今や少女は、インテリアスの商品を特別なモノとして至らしめる、命を持った素材である。

つまり、だ。ここに陳列された商品はその大小に関わらず、全て生きた人間が命そのままに封じ込められているのである。

それ故の人体モチーフであり、それ故特殊なインテリアだった。

何せ、ここの入り口の扉ですら、当然の様に『生きて』いるのだから。

 

 

 

198 : 家具師[sage] 2006/05/25(木) 12:48:36 ID:wBHTgUko0

 

「この子のご両親、よく承諾しましたね」

 

この手の商売柄、本来ならけして顧客を詮索してはならないのだが、何故かこの時、私は女主人に対し訊ねてしまった。

発端は好奇心からだと思うが、咎無き人間が他人に子供など預けるだろうか?

その一点に合点がいかず、私は説明を求めてしまったのだ。

それが暗黙の了解を反故する危険な行動なのは重々承知しているつもりである。

だが、この子が真っ当な交渉の下でここにいる訳でない事は想像に安く確信に近い。

ならば何らかの不正な手段を用いたと考えるのが推理だが、逆を言えば、少なくともここに持ち込まれる素材のほとんどは身元と共に経緯が知れているのである。

大抵は妻や娘。姉や妹などの肉親に倒錯した感情を持ったが故の始末がその大半を占めた。

そこにあるスチール扉にしても、中身は家族を溺愛し過ぎる夫を持ってしまった妻と二人の娘だったか。

もしくは金銭の絡んだ契約。これは借金による末路を良く聞く。人身売買すら珍しくはない。

もっとも、逝き付く先は愛玩用インテリアだが、少なくとも中間業者による信頼が確保されている。

どちらにせよ、そこに見えるのは好意か悪意か。

こちらとしては目的までは関与しないが、少なくとも対象の背後関係は清算しておいて欲しいのである。

ここに至る間に表に出る犯罪を挟むと、必ずロクな事にならないのだ。

だからお願い。拉致したとだけは言わないで。

 

「娘の命だけは助けてくれと言われたわ」

 

代価として10億くらいは用立てていたのにね、と続ける女主人は、案の定、こちらを激しく後悔させるだけだった。

やはり首を突っ込んだ私がバカだったと深く反省する。母の言う通りだ。

因果な商売をしている以上、そういう事も時にはある。

まあ、彼女の事だから足を残すようなヘマはしないと思うが、人が消えれば事件になるのだ。それだけが気掛かりである。

 

「毎度の事だけど、警察は動かないわよ」

 

内心を顔に出してしまった私への配慮か、彼女がそう言うのならきっとそうなのだろう。

私もこれ以上、追求する気にはなれなかった。

 

 

 

199 : 家具師[sage] 2006/05/25(木) 12:51:56 ID:wBHTgUko0

 

「ご注文は『枕』で宜しいのですね」

 

納得はせずとも気持ちを切り換え自分の仕事を思い出すと、私は電話で受けた注文を繰り返していた。

女主人の要望は少女を素材にした一人用の枕の製作。対象サイズは計測済みと言う事でファックスされている。

拘束フレームとカバーは既に完成している。後はこの少女に淫具をデコレートして枕に変えるだけだ。

 

「処女では無いからその辺りは精々考慮してもらうわ。それとアナルの方はプラグ処理にして。後でバルーン浣腸でもかませて数日ばかり床の間で鳴かせてみたいからね」

 

鬼かこの女は。もちろん臆面にも出さずに声を飲み込むと、彼女に返すのは笑顔だ。

一度断わって、机の上に少女を解放する。

呼吸が浅い。意識は無い。脈も低い。薬物かと女主人に問うと、肯定する笑みが浮ぶ。

年は16くらいか。あどけなさが残る可愛らしい顔だ。

背中まで伸びた黒髪は、前は中心から二つに分けて目にかからぬ位置で綺麗に刈り揃えられ、後ろは首下で一箇所結わえられている。清楚な感じだ。そして、その印象は私に神の従者である巫女を彷彿させた。

 

「よくわかったわね」

 

片眉を跳ね、女主人が感嘆する。それ故、処女じゃないのが意外だったそうだ。別にどうでもいいが。

 

「では今から取り掛かりますが、お時間の方は宜しいでしょうか?」

 

加工にはおよそ1時間を予定している。形式上その旨を尋ねると、女主人は手だけを振って、四足にしたメイドの背中に越し掛けた。待つつもりらしい。

残されたもう一人のメイドはこちらの行動に何の関心も見せず、エレベーターの前から動こうとしない。

私は作業に邪魔が入らない事だけを確認すると、この哀れで可愛らしい少女を女主人の寝具に変えるための装備を工具と共に机に並べた。

 

 

 

205 : 家具師[sage] 2006/05/26(金) 20:33:07 ID:OqvOqxbI0

 

「……ん」

 

少女を仰向けに転がした時、その口より吐息が洩れた。どうやら覚醒が近いらしい。

暴れられると厄介なので目が覚める前には全身拘束を終わらせたい。

まず、少女の尻から頭部にかけて強化プラスチックで作られた拘束固定用のフレームをはめる。

半球状の受け側がしっかりと肉体を抱き締めると、なだらかアーチを描く外骨格が強制的に少女を小さく仰け反らせた。

サイズにはほとんど誤差がない。そういう所で女主人の見立ての正確さに驚かされるが、方法は訊かない方がいいだろう。

同様に臀部から内側に向って延長される長靴状のフレームで足を拘束すると、少女は脛と首で全身を支える形になった。

両の腕は指を個々に固定する指輪を内面に備えたミトン状の手袋をはめ、その上から先端近くに穴を穿った肘までのショートアームザックに入れると、チタン製のナスカンで両足首を横断するシャフトに接続した。

丁度、少女は背中で四肢を畳まれた状態である。

主要の関節にそれぞれ逆向きのテンションがかかるため、自力での脱出は不可能だろう。残るは微調整だ。

私は各部に用意したフレームの“遊び”をビスと工具で位置決めし、さらに首と肩、そして肘と膝を挟み込む対になるフレームを被せ、しっかりとネジ止めをした。

全身拘束の完了である。

 

「……ほらほら、囚われの巫女さん。早く起きないと、あなたの大切な所まで取り返しの付かない事になっちゃうわよ」

 

呟いて、少女のクレバスに指を走らせる。処女を失ったらしいが、果たして、そこどんなドラマがあったとしても、ここはもう彼女の持ち物ではない。本日中には、女主人の管理下に置かれるのだ。

なのに、少女は応えない。自分自身が誰かの所有物に成り下がるこの重大な局面にいながら、少女の意識は未だ闇の中だ。

 

「だから、優しくしてあげる」

 

少女の陰部にキスをすると、私はすぐさま性器の処理へと移行した。

 

 

206 : 家具師[sage] 2006/05/26(金) 20:38:13 ID:OqvOqxbI0

道具を掻き集め、麻薬要素を存分に含む媚薬を混ぜた筋弛緩ローションをヴァギナからアナルに向って念入りに筆で塗り込んでいく。

尿道にはスポイトで直接流し込み、弛緩されたアナルが開き切るのを待って、私は用意していたバイブを少女に埋め込んでいった。

ヴァギナには体液排出口のあるラテックスのバルーンバイブ。クリトリスには尿道と兼用するミニバイブを仕込み、それぞれをクリキャップとカテーテルで固定。漏れたおしっこはパックで吸収後、クリップで封鎖した。

アナルは少女の限界孔径をベルトの付いたステンレスのクラッチと医療用接着剤で保持し、排出管のあるL字のカーボンプラグを足首に繋がれたアームザックの穴を通して接続すると、少女の肛門は拘束された両手の隙間まで延長された。また、淫具の起動は全て無線式とするため、バッテリーはコード共々背中に取り付けた。

 

「はぁ…はぁ………ん……」

 

白く能面のようだった少女の顔に赤みが増す。血流が活発化している様に見える。タイムリミットだ。

だが、寝覚めの一番に騒がれるのは予測の域なので、急いでその口も塞ぐ事とする。

私はフレームに収まった少女の体を専用のジャッキで起こし、気管に水が入らぬ様細心の注意を心がけながら大急ぎでその口内を洗浄消毒した。この辺りは手馴れた仕事だ。抜かりは無い。

おかげで少女の意識が戻る前にはその口にフレーム接続のリングギャグと口内バルーンを設置する事に成功する。

改めて見渡せば、その青い肉体は、まさに最小単位の檻の中に閉じ込められていた。

少女の体で唯一自由を許されたのは、目前の視覚だけである。

どうせそれもすぐに奪われてしまうのだが。

 

「…んお!? お―――――――ッ!!!」

 

私が右の鼻孔に給餌用の医療用チューブを胃まで導入すると同時に、眠り姫がやっと目を覚ました。

すぐに言葉にならない声がそこから聞こえたが、口内を埋め尽くしたゴムの異物に音が届かない。

体の異変にも気付いた様だが時既に遅く、ギチギチに拘束し倒された少女には机を揺らす事すら叶わなかった。

 

 

 

221 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 00:03:52 ID:jMekjmSH0

 

「騒がないで訊いてもらえるかな?」

 

恐慌する少女を諭すように、私は彼女の頭を撫でながら努めて優しく呼びかけた。

びくりとしたダークブラウンの瞳が見開かれるが、問い掛けは一度きり。

これ以上何を言ってもムダなのは、経験で学んでいる。今は敵と認識させない事が重要なのだ。

 

「大丈夫よ。怖くないから」

 

耳元で静かに囁き、少女が落ち付くまでその小さく折り畳まれた体をギュっと抱きかかえてやると、両手の中の喧騒が徐々に引いていく。10分もすれば、ギャグとバルーンの統制下、小指ほどの抜け穴から辛うじて可能となる口呼吸も落ち付き、諦めないまでも観念したのか、少女は大人しくこちらを見上げていた。

 

「びっくりしたでしょう。驚かせてしまってゴメンね」

 

笑顔で語りかけ、もう一回その頭を撫でる。

関を切ってあふれ出た涙をハンカチで拭ってあげると、しゃくりあげる声が嚥下となって少女から聞こえた。

しかし、ここからは無視する。

 

「まず最初に断わっておくけど、今のあなたに許されているのは私の話に耳を傾ける事だけなの。それ以外の自由は取り敢えず剥奪されてるから、よく憶えておいてね。騒いでもきっと苦しいだけだと思うし、私にはもうどうする事も出来ないから」

 

言われてすぐに一通り試して全身の自由を奪われた事を実感したのか、少女は気絶しそうな程焦点の合わない眼差しで、それでも私を見つめてくれた。

何故、こうなったのだろう。これからどうなるのだろう。そんな感情が涙に揺れる瞳が物語っている。

 

 

 

222 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 00:08:51 ID:jMekjmSH0

 

「だけど、私だけはあなたの味方だから、それだけは信じてね」

 

動けなくした上での押し付けの善意だが嘘ではない。私の仕事は素材を存命させる事だから。

それにこの店は商品を殺人の手段にする気は無いのだ。これは母にも徹底されてるし、私自身も同意する所である。

それ故、どの所有者もいずれ素材を解放させる事を前提に自分のインテリアを愛でている。

ここの扉の装飾である少女も、二ヶ月毎には外に出ているのだ。もちろん、高い給料と高度な療養を受けて。

だから、死者はまだ確認されていないし出す気もない。素材を『壊す』かも知れないが『殺して』はならないのだ。

唯一の例外を述べるなら、過去、そして現在においてうちの商品を完全なる絶望の底にまで陥れた人物が一人だけいた。

私の背後で足を組んでこちらを愉快そうに眺めている女主人――巴様だ。

一昨年の事である。私は商品の搬入で新築したばかりの彼女の屋敷を訪れ、その時、見てしまったのだ。

真新しい屋敷の地下の奥深くにある狂気を。欲望に対し湯水のごとく金と技術を注ぎ込んだ惨酷を。

 

あの日、私が出会ったのは、

心臓と肺を人工心肺装置に置き換えられ、

循環器系を数え切れないチューブと薬物で蹂躪され、

肉の快楽を煉獄とするために外科的方法で淫具を秘所に埋め込まれ、

美しき姿の記憶を永遠とするために全身を革と樹脂で塗り固められ、

人生の維持のみに執着する可能な限りの医療手段を用いられ、

主の許し無くしては死ぬ事すら叶わない絶界の水晶に閉じ込められた女性だった。

 

 

 

223 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 00:09:21 ID:jMekjmSH0

 

『人柱よ。地鎮の常識ね。…歴史で習わなかった?』

『……ひ、人柱って……そんな……酷い……!』

『酷い、とは心外ね。私はあなたの商品を着飾っただけ。結果は何も変わってないわよ?』

『だからって……これは―――』

『屋敷を建てる度にやってる事よ。まあ、願掛けみたいなモノね。贄が死んだら、その屋敷は建て壊すから、言ってみれば彼女達がそのまま我が家の寿命になる訳よ。栄誉でしょう? 昔は結構、頻繁に死んでたのだけど、最近の延命技術には目を見張るわ』

 

水晶を背にして、血の様に紅いワインを手にそう言って微笑んだ彼女は、まさに魔性の権化だったと記憶している。

逃げる様に屋敷を後にした事も憶えている。そして、それが今もトラウマとなって、私に狂おしい性癖を刻み込んだ事も。

しかしあれは、素材こそうちの加工を受けた商品だが、再加工したのは彼女の独断だったはずだ。

注文時は確かに柱時計だったのである。

当時、私はそれを母に黙っていたが、今回の少女の件でそれは正解だったと言えた。

わかっている事だが、この女主人は危険なのだ。逆らわないのは一番のお得意様という理由だけではない。

だとしても少女の命運は、後僅かでこの女主人に委ねられるのである。こればかりは確定事項だ。

私に彼女を守る力も義務もない。

だが、枕用の加工はあの時とはまったくの別物である。転換は絶対に出来ないはずだ。恐らく。

……そう信じたい。

 

 

 

226 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 01:17:32 ID:jMekjmSH0

 

「……おぉ……おぉーん!」

 

眼下の切なげな声に過去から呼び戻された私は、少女の体液排出口から愛液が滴り落ちているのに気が付いた。

クリキャップ越しに触れても、クリトリスが明らかに硬度を増している。呼吸も不規則で荒い。

つまりは、少女はこの異常な状況下で感じているのだ。攫われて、体を拘束されて、私という他人に辱められて。

もちろんこれは、彼女の本性が重度のマゾであるとか、もしくは突然倒錯行為に目覚めたとか、そういった類の話ではない。ある程度、現象として予測された事である。

 

「ふふふ。どう? 自由とか、人間の尊厳とか何もかも失っちゃうと、絶望を通り越して逆に気持ち良くなってくるでしょう」

 

甘く耳元囁いてあげて何だが、これは嘘だ。タネを明かせば、全て媚薬の効果である。

基本的に身動き出来ないまでに全身を拘束すると、余程の才能に恵まれた人間以外、ストレスで潰れてしまう。

特に最初の頃は酷い。妥協と諦めに何処かで折り合いを付けないと、発狂するか死である。

それを補佐するのが媚薬であり麻薬だ。ここで拘束の快楽を脳内に刷り込めば、後は自然と悦しむ事が出来る様になる。

素材となった者達の精神と肉体は、いずれ苦痛と快楽だけが維持してゆくのだから。

 

「お姉さんね、あなたをもっともっと気持ち良くしてあげる事が出来るんだけど、どうかな。今よりも気持ち良くなりたい? それともこのままの方がいい?」

 

耳に息を吹きかけ、舌でその孔を嬲ると、少女は目を細めて唸った。

理性が拒絶の瞳を私に向けるが、薬物の快楽に転がり出した本能はもはやどうにもならないだろう。

 

 

 

227 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 01:32:59 ID:jMekjmSH0

 

「……そう。このままがいいの。さすが『元』巫女さんね。それじゃ一生、そうしてるといいわ」

 

だから私は、いつもの様に素材の『誇り』を引き合いに冷たくあしらい、放置した。

と言っても、単に少女の頭側に歩いただけなのだが、首の動かない少女に私は探せない。その体も慰められない。

今の少女は牝の本能を剥き出しにして呼吸するだけの快楽機関でしかないのだ。

そして、私はこのまま5分は待つつもりだった。誇りと本能の根競べである。

しかし2分と経たずに少女は喘ぐ様に泣き出し、私がその顔に手を触れてやると、犬が飼い主に哀願するみたいな声をあげた。

 

「バカね。こんな時くらい素直になりなさい。本当は気持ち良くなりたかったんでしょう?」

 

そんな悪魔の囁きに、少女は屈した。それが媚薬の所為であろうとも、彼女の中で選んだ事実だけは変わらない。

もっとも、少女にはこれからその代償が求められるのだが、交渉の前にヴァギナのバイブを緩く動かしてやるとする。

 

「おお、おぅ! おぅ! おうぅぅ……」

 

スイッチが入るとすぐに、少女の呼吸が快楽に塗れた。

もちろんすぐに逝かせる気はない。コントーラーのレバーを巧みに操作してギリギリを維持し、気をやる寸前で停止させる。経験で、大体の“当り”はわかっているのだ。少しばかり苦しんでもらおう。

そして思い知るのだ。欲求すら他人に奪われた無力で惨め自分を。

もはや誰とも並び合えない、生物以下のモノである事を。

これは調教と言う名の洗脳なのだから。

 

 

 

239 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 16:53:03 ID:B9STzVE90

「おふッ! おふッ! おんおぉぉぉぉッ!!」

 

10分もかけて『おあずけ』を繰り返すと、さすがに悦楽で煮込まれた少女の頭でも私にイカせる気が無い事に気付いたようだ。

だが、疲労した肉体に私を非難する気力は無いだろうし、それだけは許さない。

しかし私の淫湿な罠を知らずに、トロトロになった少女はすがり付く視線を絡ませて悲痛の鳴き声をあげ続けている。

その瞳が壊れた人間の色を帯びた。そろそろ限界だ。

 

「最後までイカせて欲しい?」

 

解答のわかり切った問いを出すと、頷くニュアンスで少女が鳴く。その瞳に理性はもう何処にも無い。

ただ、目の前の快楽だけが少女の全てだった。人間が身を堕とす瞬間である。

だから、私はそれを口にするのだ。彼女から残りの人生を奪うために。

 

「いいわよ。イカせてあげる」

 

私の笑みに、少女の目が歓喜で溢れる。しかし、バイブのスイッチは見せびらかしたまま、話を続ける。

 

「ただし条件があるわ。あなたにはこれから枕になってもらいたいのよ。…そう、枕ね。眠る時のアレ。所有者に安眠を約束するためだけの寝具。目も見えず、耳も聞こえず、口も開けず、一人で動く事も出来ないただのモノになって欲しいの」

 

その意味する所がどれだけ荒唐無稽でどれだけ非情か、今の少女にわかっているだろうか。

赤の他人が人間を辞めろと言っているのだ。それも生殺与奪の権利を要求してである。

だからこうやって、自ら選ばせるだ。理不尽に。底無しに卑怯な状況を用意して。

 

 

 

241 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 17:01:53 ID:B9STzVE90

「その代わり、私があなたが気絶しちゃうくらい気持ち良くしてあげる。これは保証するわ。……もっとも、嫌ならずっとこのままよ。解放はしてあげられないけど、私が死ぬまで養ってあげる。だけど、私はイカせてなんかあげない。絶対にね。そうやって、巫女の誇りとやらといっしょに永遠に苦しみ続ける事になるわ。それでいいならね。だから、イエスなら、瞬きを二回しなさい。一度しか聞かないから、よく考えて答えるのよ」

 

宣言すると、少女は優に4秒は固まったが、二回、その目蓋を動かした。

 

「そう。それでいいのね。それじゃ、人間だった自分とは、ここで『さようなら』しましょう」

 

少女の額にキスをすると、私はその耳に栓を入れフレームにアイマスクを繋げてキツくネジ止めした。

そしてまたバイブを緩く起動させると、机の端に畳んでおいた黒光沢のラテックスカバーを取り、一度広げて備え付けの口呼吸用のチューブと給餌用のチューブを背中側で処理する。

少女がヌルい快感に呻くが、もう二度と取り合わない。

尿用カテーテルを逆流防止弁の付いたT型プラグで給餌用と接続してクリップを外すと、黄色の液体が少女の鼻を経由して胃に直接流れていった。

少女が吐き出さない事だけを確認すると、その体を丁寧にカバーで包んでいく。

膝から足首付近まで伸びる固いジッパーを閉め、両手の位置にまで延長された人工アナルをカバー側の接続口で合わせると、ラテックスの表面に少女の肛門が開通する。これで少女は完全に密封されてしまった事になる。

 

「これで、本当にお別れよ」

 

頭部側のプラグに繋がるゴムポンプを手に取ると、私は少女の歩んだ今までの人生を慈しむ様に、ゆっくりとカバーに空気を送り込んだ。部屋の中に、遠くから聞こえる換気扇の回転音と、排気と吸気を繰り返すポンプの音だけが残滓のように漂う。私は何も喋らなかった。

暫くすると二重構造になってる内壁が適位置で膨れあがり、数分後には、人型だった少女の姿は腹を頭頂になだらかな斜面を描く座布団型の楕円直方体になっていた。

ポンプを外すと、そこにはもう、人間だった頃の名残はない。

あるのはラテックスの鈍い輝きと、滑るような弾力だけだった。

巫女を素材にした人枕の完成である。

 

 

 

242 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 17:03:05 ID:B9STzVE90

「それじゃ約束通り……気絶するまでイッちゃいなさい」

 

私は両手で枕の空気圧を確かめた後、少女を快楽へ誘うヴァギナのバイブの他に尿道と兼用のクリバイブも起動し、共にボリュームを全開にした。

 

「――!! ―――ッ!! ――――――ッ!!!」

 

絶叫の様な嬌声が触れた指先にだけ聞こえる。呼吸はチューブにフィルターをかけてさらに分化され、微弱な音すら感じない。

だが、艶かしい振動は確かに少女のもので、一時の快楽と引き換えに残りの人生を捨てた愚かで愛しい枕がそこにあった。

しかし私には、それ以上の興味は涌かなかった。

そこにあるのは、例え犯罪の被害者であったとしても、もはや単なる商品なのだから。

 

「―――――――――ッ!!!!!」

 

私は枕の中の意思が消えて無くなるまで、ずっとその柔らかな表面を撫で続けていた。

それが私なりの、巫女であった少女への弔いで、償いなのだ。そして祈るのである。

いつしか少女が、堕ちた自分を心の底から幸せだと感じられる様に、と。

女主人は、そんな私達をただ目を細めて眺めているだけだった。

 

 

 

244 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 20:19:52 ID:B9STzVE90

「では、こちらが商品となります」

 

指定の口座に代金が振り込まれた事を確認して、私は少女の持ち物らしき巫女装束と紅白のりぼんでラッピングしたばかりの枕をキャスターごと女主人に渡した。

二人のメイドがそれを受け取り、女主人に一礼をして先に地下駐車場側の扉を潜り抜けてゆく。

本日の作業はこれにて終了だ。長かった。そして疲れた。

まだ別の顧客への商品の受け渡しが残っているが、事務的なものばかりですぐに片付くだろう。

そんな風に心にゆとりが生まれると、私は少しだけ感傷的な気分になった。

 

「そういえば、あの子の名前も知らなかったな……」

 

あれだけ散々貶めておいても、やはり少女の行末が気になるのだ。だが、忘れる事も仕事の内である。

それだけの金額は貰っているのだ。これ以上は命にかかわる。

 

「……ぅん」

 

気持ちを入れ替え様と伸びをして、意識を喘ぎと同時に外へと飛ばす。刹那の快感だ。その瞬間だけ我を忘れられる。

自分の罪がこの時だけは消えて無くなる、そんな自己満足に酔いしれるのだ。

だから、気付かなかった。あの女主人が部屋に残っている事に。

私の背後にまで近づいていた事に。

 

「……悪いけど、ちょっといいかしら」

 

そんな声が、頭上から聞こえた。

 

 

 

 

249 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 23:39:54 ID:B9STzVE90

―――深夜。

私は地下の一室で激しく自慰に没頭していた。大きな仕事の後はいつもこうだ。

後になってから体が火照り出す。

 

「ああ……んううぅ!! はあぁん!!!」

 

誰にも聞かれない場所でのオ○ニーに馴れると、声をあげるのにも躊躇いがなくなる。

道具は使わない。衣服の隙間から二つの指で狂った様にクリトリスを弄ぶのだ。

しつこく、ひたすらに、呼吸が間に合わず、快楽に精神が追い付かなくなるまで。

 

「んはああああああッ!! ああ! あ――――――――ッ!!!」

 

絶叫して倒れると、ほどよい二つの弾力が私の顔を包み込む。

地面から生えた半球状のそれは私の汗と唾液に塗れ、いやらしい女の顔が映り込むほど照り輝いていた。

強く掴むとゴムマリのように歪み、同時に生暖かな温もりを掌に返す。

呼吸が整うまで、そうやってただ闇雲に時間を潰していると、ふと、視界にある壁掛けの鏡の中の自分と目が合った。

そこには、数人は座れそうなロングソファーの上で狂態を演じる牝の姿がある。それが私だ。

まさに見るに耐えない。そんな女がサカった犬の恰好でこちらを睨んでいる。

だが、同時にこうも考える。あんな商売するような人間には、こんな変態的なオ○ニーが丁度いいのかも知れない、と。

蔑むように笑い、本気でそう思った。何せ毎回、そのネタにしているのは、

 

「お母さん……気持ち…良かったよ……」

 

実の母親なのだから。

 

 

 

250 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 23:40:36 ID:B9STzVE90

私の真下、つまりソファーのクッション部分には二年前から母が閉じ込められているのだ。

理由は、私が母を愛してしまった事と、母が私を拒絶した事。

唇に吸い付いた所で平手を頬に張られた時、カッとなった私は兼ねてから用意していた筋弛緩剤を使ったのだ。

本当は使うつもりなど無かった。しかし、もしやという気配もあったのだ。そして、気配りだけが足りなかった。

あの瞬間はどうしようも無く後悔したが、今はそれすら忘れている。でなければ、母の上でこんな痴態は晒さない。

母もまさか、自分が腕によりをかけて作ったソファーに実の娘の手によって閉じ込められるとは思ってもみなかっただろう。

私だってそうだ。だが、欲望に屈服した。

生命維持のため、時折外に出してはいるが、それは母の意識が無い時だ。その声はとうに聞いていない。

 

「それじゃ私はヤボ用を片付けてくるから、それまで一人で悦しんでいてね」

 

母の体の、乳首、子宮、ヴァギナ、尿道、アナル、クリトリスに取り付けたバイブを全て起動させると、私は部屋を後にした。声も振動も聞こえないそのソファーの中で、母がヨガり鳴き悶絶している事を思うとまたも股間が熱くなるが、それは後のお楽しみとしてとっておこう。

 

「だから、さっさと終わらせるわよ」

 

作業部屋に入るなりそう言い放つと、私は床の上に後ろ手に拘束されたメイド服の女性に笑顔を見せた。

その捨てられた子猫の様な眼差しは、先の忠犬ぶりとは一転して悲壮感を漂わせるが、女主人が自ら彼女を選んだのだ。それも、恋人への贈与品にするために。

 

 

 

251 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 23:41:11 ID:B9STzVE90

「よかったじゃない。その恋人ってヒトがどんな人物なのかは知らないけど、あなた選ばれたのよ。ご主人様の愛する人へのプレゼントに」

 

そこは素直に歓ぶべきだと優しく諭してやるが、多分、納得はしないだろう。私も同意見だから。

だけど、注文を受けた以上、私は全力でそれに応えなければならない。彼女の想いなど二の次なのだ。

そして、このメイドを地獄に堕とす許可は、前金と共にもらっている。ふざけた要望といっしょに。

 

「あなたの忠犬ぶりを信じて教えてあげるけど、あなたはこれからイスになるのよ。それも、とても豪華で、美しく、いやらしいイスにね。嬉しいでしょう。あなたはもう自分で考えて、自分で何かをする必要が無いんだもの。メイドにあるまじき栄誉よね」

 

煽りの皮肉にメイドはキッとこちらを睨んだが、私がその顎を掴んで引き寄せると、彼女は頭(かぶり)を振って、自ら床に倒れた。

私はそんなメイドの頭を踏み付ける。調教は既に始まっているのだ。

 

「気に入ったわ。ご褒美に私が全力であなたを人じゃなくしてあげる。この世界から生きたまま隔離される哀れで愚かな家具に貶めてあげるわ。でもね、絶望と快楽だけはあなたの取り分よ。まあ退職金だと思って、素直に受け取ってね」

 

足蹴にして宣言すると、メイドは真っ青な顔をして口を開いたが、そこから洩れるのはもはや言葉ではなかった。

だが、私は続ける。『彼女の未来を守るため』に、容赦をしてはならない理由がこちらにはあるのだ。

 

 

 

253 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 23:50:15 ID:B9STzVE90

「だけど巴様の恋人には、中にあなたが閉じ込められてる事を知られちゃダメらしいのよ。おかしな注文でしょう? あなたを生かしておかなくちゃいけないのに、あなたの存在は抹消しなくてはならないの。まったく、何を考えているんだか」

 

この要望にはさすがに同情を禁じ得ない。命以外の全てを奪われてインテリアにされても、誰からも愛されないのである。

しかも使用者は、こちらの事情を知らない。残された命ですら無視され、本当にモノとして扱われるのだ。

メイドの頬から涙が伝い、赤い絨毯に染みを広げている。それが彼女の予感と心情を全て物語っていた。

しかし残酷かな、注文にはまだ続きがあるのだ。

 

「でもね、あなたのご主人様はこうも厳命していたわ。もしもその恋人にあなたの存在がバレるような事があったら、その時は―――」

 

そこまで言って、私はメイドが注目するのを待つ。僅かな時間。心臓が高鳴り、足が震えた。

ショーツの中は、先のオ○ニー以上に愛液を滴らせ、びしょびしょになっている。もう我慢できない。

自然とその場所に私の手が伸びた。中指が、つぷりと体内に侵入する。

間近の異変に、メイドが顔をあげた。そしてギョっとする。それもそうだろう。

そこにいる私は、泣き出しそうな程に顔を歪めて、人前で浅ましく自慰を行っているのだから。

 

 

 

254 : 家具師[sage] 2006/05/28(日) 23:51:16 ID:B9STzVE90

「……そ……その時はぁぁぁ……!」

 

メイドには、きっと私の気持ちなどわからないだろう。このどうしようも無く、オマ○コを熱くする理由など、被支配者である彼女には永遠にわかるはずがない。

何故なら、今の私には、本当の意味で彼女の人生を終わらせてしまう、女主人より与えられた権利があるのだ。

やばい。これだけでイキそう。彼女が本当に哀れで、情けない程愚かで、なのにとても羨ましくて。

しかし、私は告げる。それを彼女への最後の手向けとして。この手に委ねられた命を弄ぶために。

 

「……あ……あなたぁ……ひ…人柱だそうよぉッ!!」

 

絶頂した私は、メイドの顔に汚らしい体液をぶちまけていた。耳を劈く悲鳴が近くに聞こえる。

それが彼女の声か、私が出したものなのかまではわからなかったが、白む意識の中に見えた光景は、抱き合う様な形で水晶に閉じ込められた母と自分の姿だった。

 

<END>

 

 


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